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10万打企画


もしもお泊まりデートしたらB


side h
あああああああ!
工藤くんがっ!工藤くんがどうしてもって言うから!!
勢いでいいよ、って言っちゃったけど、でもだってそんなバスタオルだけでライトの明かりの下アルトバイエルンをじっくり見るだなんてそんな私だって心の準備がだってそんなそんな


「名前?」
「はいぃぃ!」
「…そこのバスタオル使っていーから。オメー先入ってるか?」
「う」


ん、て言う前にちょっと待ったがかかった。
私が先に入るってことは先に服を脱ぐってことでしょ?
そんな先に服を脱いで、脱いでる最中に工藤くんがわざとらしく入って来たら私お風呂場に辿り着けない…!


「それとも俺が入ろうか?」
「う」


ん、て言う前にちょっと待ったがかかった。
工藤くんが先に入るってことは先に浴槽に入ってるってことでしょ?
そんな先にお風呂に入られて、どーん!とアルトバイエルンをいきなり出されても私浴槽に辿り着けない…!
どうしようどうしようどうし


「じゃ、オメー適当に入ってきて」
「…えっ!!?」


私が悶々と悩んでいる間にさっくり服を脱いで工藤くんはお風呂へと消えていった…。


side S
未だ何か悩んでる様子の名前をヨソに、さっさと風呂に入った(一緒に風呂に行くって概念が無さそうだったし!)
…そもそも言い出したのは俺じゃねぇし?(てゆうか俺は一言も言ってない!)
まぁ…、俺が逆上せる前に来るだろ、なんて思ってたら、


パチン


風呂場の電気が消えた…。
と、同時にキィッ、と扉が開く音がした。


「で、電気、消していいよね?」


てゆうかそれは消す前に聞かねぇか、フツー。
でもまぁ、風呂場の電気を消しても博士んちの明かりが微かに入って来て、…なんか逆にエロい。
なんて言ったら名前は絶対入って来ないから言わない。


side h
「と、とりあえず工藤くんはあっち向いて!」
「…へ?」
「まさか向き合って入る気!?そんなのダメだよっ!!あっち向いて!!」


お風呂に入ろうとしたら、工藤くんがいつまで経ってもこっちを向いていて。
…ハレンチ!工藤くんハレンチ!
そんな向き合ってお風呂になんか入れるわけないじゃないっ…!!


side S
「まさか向き合って入れる気!?そんなのダメだよっ!!あっち向いて!!」


いや、オメー背向けて入るなら一緒に入る意味ねぇだろ。
とは思ったものの、


「へーへー」


なんて答えたのは、入ってしまえばこっちのもんだって知ってるからだ。


side h
「ち、ちゃんとあっち向いててね?」
「おー」
「…お、お邪魔します」


ぱちゃん、て音を立てながら浴槽に体を沈める。
工藤くんちのお風呂は、工藤くんが横になってもまだ余るくらい広い。
でも、身の安全のため工藤くんの背中に自分の背中をつけて座った(だって背中合わせならにゃんこから黒豹になれない…!)


side S
このスペースであえて俺に背中くっつけてきたとか…、名前もやーっぱなんかされること、期待してんじゃねぇ?とか。
そんなこと思った。


「そーいや、」
「うん?」
「こーやってっと、中学ん時の修学旅行思い出さねぇ?」
「沖縄の天体観測!」
「そーそー」


名前が少し、俺の方を振り返ったのがわかった。


「あの時かなり首痛くなったよな」
「そうそう!」


名前も思い出してるのかクスクス笑ってる。


「でもさ、」
「んー?」
「工藤くん、あの時よりもずっと大きくなったよね?」
「え?」
「だってあの時は実はもう背伸びなぎゃっ!!?」


side h
「だってあの時は実はもう背伸びなぎゃっ!!?ガバッ、コボッ」


実はもう背伸びないんじゃない?って思ったもん!て言い切る前ににゃんこが寄りかかってた背中をズラしたから、私浴槽に背中からダイビングッ…!
あり得ない!
にゃんこあり得ないっ!


「ゲホッ、ゴホッ!」
「…風呂場で溺れる奴初めて見たわ…」


誰のせいよっ!?
って、思いっきり睨み付けてやろうと思ったら、


「っ!」


いつの間にか工藤くんに抱っこされるような形で座っていた。


side S
「だってあの時は実はもう背伸びなぎゃっ!!?ガバッ、コボッ」


一瞬、俺のいた空間に亀裂が入っ音がした気がした。
そう思ったら体が条件反射でも起こったかのように、サッと名前の背から離れた。


「ゲホッ、ゴホッ!」


まぁ、当然のことながら、俺に背中を預けてた名前は浴槽にダイブ。
…風呂場で溺れる奴初めて見たわ。


「大丈夫か?」
「ケホッ…」


抱き上げた名前は、これも当然ながら髪まで濡らしてむせていた。
…むせる本人には悪ぃが、正直タイミングを計りかねていただけに、良いきっかけになってくれたと思う。
今度は名前の背中が俺の腹にくるような格好で抱き締めた。


「…ケホッ…」
「落ち着いたか?」
「ん…っ!?」


落ち着いたらしい名前が、ようやく現状を理解したのか一瞬体がビクッとしたのがわかった。
…明らかに目を泳がせてる。
わかりやすい奴。


「名前」
「…っ…」


片手で抱き締め、片手で顔をこちらに向けて口づける。
…何回もキスしてんのに、なんで毎回毎回1番始めのキスする瞬間に体強ばらせんだ、コイツ?
少し首を竦めるような仕種をした後、いつものように俺の要求に答えてくれるんだけどな。
名前の腹あたりに回されてる腕に、両手を添えて答えてくる。
てことはもう片手で顔をこちらに向けなくてもいいってわけで。
そうなってくると空いた片手はどこに行くかといったら決まってるだろ?


「…」
「…」


バスタオルで隠されてる谷間に指を引っ掻けようとしたわけだが、見事読まれてたのかその手がバスタオルに到達する前に白刃取りされた…。


「…」
「…」


クチビルが触れるか触れないかくらいの至近距離で名前を見る。
キュッ、と目を閉じているものの、明らかに「ぎゃー!」って顔をしていた。
…目瞑ってるくせに俺の手の存在は気づいたんだな。
相変わらずぷるぷると力を入れて阻止してる名前の手を持ち上げクチビルをあてた。


「…取っていいか?」
「っ!」


俺の一言に、もう1度体をビクッとさせた名前。
目を見開いて、でも俺と視線を合わせるわけでもなく、「どうしよういけませんそんな!」って感じとでも言うのか?
そんな顔をしていた。


「…取っていいか?コレ」


コレ、と言って指に引っ掻けたバスタオルを軽く持ち上げる。
名前はしばらく目を泳がせた後、目を細めゆっくりと頷いた。

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