キミのおこした奇跡


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広がる不安


二物を与えられた母猫


「あ!そう言えばストラップありがとうございました!」
「え?ストラップ?」


死因が元女優のダイナマイトな胸に埋まって窒息死ってなる前に、工藤くんと有希子さんの口論は終わり、無事工藤家のリビングに通された。


「はい!ハワイのおみや」
「あーっ!ほら、母さんがっ!選んだだろっ!ストラップ!!」
「………ああ、そう言えばそうだったわね!気に入った、アレ?」
「はい!可愛くてケータイにつけてるんです!」
「へぇ!ケータイにつけてくれてるの!私も見たいわぁ!」
「あ、はい!ここ」
「そういや母さんこっちに何しに来たんだよ!?」
「…あら、愛する息子の顔を見に来たんじゃない!で?あおいちゃんストラップは」
「俺!久しぶりに母さんのメシ食いてぇんだけど!あおいも食ってくよな!?」
「え?あ、うん」
「そんなのいつでも作ってあげるから!で、ストラップ」
「母さんのメシはマジで美味いんだぜ!あおいも見習ったらどうだ!?」
「え?あ、うん…?」
「あら、いつでも教えてあげるわよ!で、ストラ」
「じゃー!母さん買出し行って来ねーとだろ!!車用意してっ!!」
「あ、ちょ、新一!」


工藤くんが押しの一手で、有希子さんをリビングから追い出した。
…なにごと?


「なにかあったの?」
「…なんもねーよ!オメー、ケータイは?」
「え?カバンの中にあるけど?」
「今日はそのままカバンの奥底にしまっとけ」
「うん?」


今日は工藤家で電話を使うな、ってことなのかな?
でもまぁ、私が電話使う先って言ったら、にゃんこか蘭か園子しかいないから、別に無くても困らないんだけど。
とりあえず言われた通り、ケータイをカバンの奥底にしまった。


「え?あおいちゃんロスに来ないの?」


買出しから帰って来た有希子さんはなんだか不機嫌そうな顔をしてたけど、いつの間にか機嫌も直り、無事工藤家で夕飯となった。
…うん。
工藤くんが言うだけあって美味しい。


「行かないっていうかパスポートが…」
「じゃあ申請しに行きましょうよ!明日!」
「あ、明日!?」


工藤くんは親子なだけあってこの人の無茶ぶりには慣れてるらしく、何も思わないようだ。


「そうそう!善は急げ、ってね!まずは戸籍よね。学生証ある?」
「あ、はい。それはあります、けど…」
「じゃあ大丈夫!明日戸籍謄本をもらいに行きましょう!」


で、でもその戸籍があるのかどうかっ!


「母さん、あおいまだ行くなんて言ってねぇだろ。さっき話したばっかなんだし考える時間やれよ」
「まぁ、新ちゃんてばあおいちゃんに気を使っちゃって優しいのね!」
「別にそんなんじゃねーし!人として当たり前のこと言ってんだろーが」
「新ちゃんの口から気を遣うことが当たり前なんて聞く日が来るとは思わなかったわ!」
「…」


工藤くんがじとーっと有希子さんを睨む。
どう、しよう、かな…。
とりあえず自分で戸籍がるのか、調べてみよう、かな…。
区役所、に、行けばいいんだよ、ね…。


「じゃああおいちゃん!行きたくなったら遠慮せずに言ってね!」
「あ、はい。ありがとうございます」


うーん、と唸ってたら有希子さんが優しく微笑んでくれた。
…ほんとに綺麗な人だ。
どんな服でも着こなしちゃいそうなくらい背も高いし、窒息しそうなくらい胸もデカイし、いいなぁ…。


「どうかした?」
「あ、いえ、別に」


あなたを羨ましく思ってました、なんて。
神様は二物も三物も与える人には与えるんだ。
…知ってたけどさ。


「えー?泊まって行かないのぉ?」
「はい、明日学校で必要な道具も全部うちにあるんで今日は帰ります」
「そう?じゃあ送って行くわよ?」
「あ、大丈夫です!いつものことだし、歩いて帰ります!」
「やだ、もしかしていつもこんな時間に帰ってるの?暗いからダメよ!」
「大丈夫ですよ!工藤くんも送ってくれるんで」
「新一が!?」
「はい?」
「あおい!いつまでも喋ってっと置いてくぞ」
「あ、行くから待って!じゃあ有希子さんまた!」
「うん、またねー!お休み!」


最後すんごい笑顔の有希子さんに見送られた。


「おもしろいお母さんだね」
「ウルセェだけだ」
「でも綺麗で優しくて羨ましい」
「…」


うちのお母さんなんて若干メタボだし…。


「オメーさぁ、」
「うん?」
「マジでロス行かねぇか?」
「…考えとく」


その後工藤くんとどうでもいいこと話しながら家路についた。

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bkm

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