キミのおこした奇跡


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ドキドキ携帯購入


レモンパイ


「芳賀ー、帰っぞー」
「あ、うん、今行くー」


放課後、約束通り工藤くんはうちの教室に迎えに来てくれた。
なんかクラスメートの視線が異常なほど生暖かいけどもう気にしない。うん。


「ごめん、帰る前に弓道場に行っていい?」
「あー、結局オメー弓道部にしたのか?」
「うん!来年は全中行くのっ!!」
「は?オメーそんなにうまいのかよ?」
「…弓道初めて2ヶ月です」
「まぁ…頑張れ」
「…はい」


そう、私の目標は来年の全中!
黒羽快斗に逢うためにっ!!
いつ逢っても連絡先を交換できるように、今日携帯も買いに行くし!!
少しずつ!焦らない!!
うん!!


「そっか、じゃあ実際に活動出来るのは明日からだね」
「はい、すみません」
「いいのいいの。うち人数少ない上毎日来てるの俺くらいだし」


だから予選敗退なんだよ、帝丹…。


「あ、じゃあ明日入部届けに名前書いて来てくれる?」
「わかりました」
「袴は?ある?」
「ないです」
「了解。じゃ、テキトーに見ておくね」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあ明日ね」
「はい!失礼します!」


爽やかな主将に見送られ弓道場を出る。
工藤くんは弓道場前できちんと待っていてくれた。
こういうところは、良い人なんだよね、ほんとに。


「お待たせ」
「おー」
「…そう言えば工藤くんてサッカー長いの?この間見た時上手いなぁって思ったんだけど」
「おー。俺一応レギュラーだし」
「あ、そうなんだ。公園で自主練してるくらいだもんね。なんか納得」
「それ、」
「うん?」
「誰にも言うなよ?」
「え?」
「こそこそ練習してるなんてバレたくねーし」
「…こそこそ練習してないで堂々と練習したらいいんじゃないの?」
「天才は努力を他人に見せねーもんなんだよ」


そうだ、このにゃんこおバカだったんだっけ。


「でもなー」
「うん?」
「1人で練習してっと、レモンパイが食べられねーんだよな」
「は?レモンパイ?」
「そー。部活後マネージャーがいっつも作って来てくれっからそれが癖になって、頭が練習したら食うもんだって感じになっちまってさー」


それってまさか


「マネージャーって、先輩?」
「あ?ああ、今生徒会長やってる内田麻美って人」


やっぱり!!
ちょ、なんか会ってみたい、サッカー部マネージャー!
工藤くんが初恋の麻美さん!
ああ、やっぱりここはきちんとあのお話に繋がってるんだな…。


「なんだかんだで工藤くんにはお世話になってるし、今度自主練する時、私がレモンパイ作ってってあげようか?」
「…ヤメロ」
「私お菓子は作れるよ!?」
「腹壊して試合出れなくなったらどーすんだよ!」
「失礼だな!そんなにひどくないよっ!!」
「どの口がそんなこと言うだ?あっ?」
「い、いひゃい」
「俺に何か食わせる気なら人間が食べれるまともな料理が出来るようになってから言え!」


片手で両頬をぎゅーっと掴んでタコ口にされた。
にゃんこのくせにっ!!


「工藤くんて私に対する態度があり得ないと思う」


痛いじゃんかっ!
絶対ほっぺ赤くなってる!


「…別にフツーだけど?」
「どこらへんが?」
「そんなことよりさっさと行くぞ」


言うだけ言って、いや、人のほっぺ掴むだけ掴んでさっさと歩いて行く工藤くん。
何さっ!
7センチがそんなにエライのかっての!
にゃんこのくせにっ!


「博士!」
「おお、来たか新一」
「悪ぃな、急に」
「いやなに、構わんよ。君が芳賀あおいくん、かな?」
「あ、はい!芳賀あおいです。今日はありがとうございます!」
「芳賀、こっちが俺んちの隣に住んでる阿笠ヒロシ。博士って呼んでる」
「よろしくお願いします!」
「君があおいくんか…」
「はい?」
「いや、あの新一がいたぁ!」
「余計なこと言うんじゃねーよ」


…あなた博士に無理言ってお願いしときながら、お尻思いっきりつねるとかどういうこと?
原作見てた時から思ってたけど、博士って工藤くんにかなりいいようにつかわれてるよね…。


「とにかくケータイ買いに行くから車に乗れ」


あなたの運転じゃないですよね?
と思いながらもあの黄色いビートルに乗れるなら!


「…すごい年季入った車ですね」
「これでも一応外車なんじゃよ!」
「はあ…」


博士の車は黄色いビートルはビートルでも、相当年季が入ってるビートルだった。
これ走行中に止まるんじゃないの?


「買い換える金がねーもんなぁ?博士」
「煩いのぉ。もう一歩でワシの発明も高い評価を得てじゃな」
「へーへー、期待しってから頑張ってくれよな博士」


今にも止まりそうなビートルに乗って、携帯shopに向かった。

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bkm

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