新人戦

新人戦前日





丸井くんは手先が器用なこともあって独自にアレンジしたケーキを作るようになった


「もう明日かー」

『そうだね、緊張する?』


「フツー、試合で妙技を決めることができたら俺の勝ちだな」



そう、丸井くんの妙技

その天才的なテクニックは先輩たちも驚いたことだろう


『頑張ってね』

「お前も見に来るだろぃ?」




せっかくお誘いをいただいた試合を見に行かない訳にも行かないし...


「前も言ったけど空いてなかったら空けとけよぃ?」

無理やり空けろってことだよね、それ...




この新人戦はある意味レギュラー入りするか否かの判断基準でもある


「絶対にレギュラー取ってやるから見に来いよ?」

『約束したよ?』

「男に二言はねぇよ^^」


そう言ってウインクをする丸井くん





丸井くんを信じてる

彼が努力してきた姿を誰よりも見てきたから





新人戦当日

天気も良く、新人戦としては晴れ晴れしく快い日だ


立海大附属の相手は東京の氷帝学園




超お金持ち学校なんだよね確か...
丸井くんはシングルスで出るみたい


その相手は芥川慈郎くん、眠たそうな顔してるなぁ...
朝早かったのかな?




『丸井くん頑張ってね』

「俺の天才的妙技、しっかり見とけよ?」


相変わらず強気だな

いつものように試合開始前にケーキを頬張る




「んじゃ、行ってくるわ」


その背中は自信に満ち溢れていて初めて見た時より大きく見えた







相手もボレーが得意みたい

ネット前ですごい打ち合いになってる



相手の芥川くんは持久力がないのか返球の力が弱くなっていった


「うわっとぉ...!」

相手がバランスを崩したものの返球した




チャンスだ

『丸井くん...!』


「きっちり決めるぜぃ!」




丸井くんが返したボールがネットに当たる


次の瞬間、ネットの上をコロコロとボールが転がっていく





そして相手側のコートに落ちる


「妙技、綱渡り」

「うおぉぉぉ....」


相手の芥川くんも唖然としている


「どう?天才的?」


ぷくーっとガムを膨らませる丸井くん

不覚にもかっこいいと思った




「....すっげええええ!コレすっげええよ!すっげえええええ!」










え?

芥川くんは負けたにも関わらず丸井くんの妙技に興奮している


丸井くんも若干引き気味

すると芥川くんは丸井くんのしていたリストバンドを無理やり持って走り去って行った


「なんだったんだアイツは...」










丸井くんが試合を終えてこちらへ向かってくる

『お疲れ様』

「俺の妙技しっかり見てたか?」


『うん!すごかったよ!』

「だろぃ?」



「もっと褒めてほしいみたいぜよ」

「仁王!」

「プピーナ」




『仁王くんのイリュージョンもすごかったね!』

「天才じゃからな」



「天才は俺だろい!なあ桜宮!」

「俺じゃき」

「ちっがーーーう!!」

「そんなムキになりなさんな、のぅ桜宮」




これは、うんと言うべきなのだろう

けど丸井くんの悔しそうな顔を見てると




『どっちの試合もかっこよかったよ』

永世中立でいたい












みんなの試合はすごかった

何て言えばいいんだろう


勝つために頑張ってきた、努力してきたって...

テニスを初めて見る私にでも分かる



今年の1年生は強者揃いだなって先輩がボヤいているのも聞こえた


みんながレギュラーに入ることができたらいいな
















新人戦を終え、クラスはテスト期間ムードが漂っていた


「レギュラー入り決まったのはいいけど、もう来週テスト期間に入るとか早すぎんだろい!」

『大変だね』


「ああもう理科と数学とかマジで苦手でさ〜英語もなかなか難しいっていうか」

『英語苦手なの?』

「苦手ってかどう覚えたらいいか分かんねえんだよな」


英語なら私は得意だ

何か丸井くんにできることがあれば...


英語は文法と単語さえ押さえていれば誰でもできる
今晩は頑張って丸井くんのためにテスト期間用ノート作ってみよう


いつも私を気にかけてくれてる丸井くんへの感謝の気持ちとして...


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