私にできること
徹夜で作った「丸井くん用テスト対策ノート」は無事に完成した
教室に入って近くの席の子に挨拶をする
『おはよう......』
「ひぃ!お、おはよう...桜宮さん...」
ああ、やっぱりひどい顔してるよね私
「おはよ、桜宮」
朝練を終えたであろう丸井くんが私に挨拶をしてくれる
『...おはよう丸井くん』
「ってお前ひでぇ顔だな」
『あのね、丸井くん...よかったらコレ...』
丸井くんに昨晩徹夜で作ったテスト対策ノートを手渡す
「何だコレ?」
『丸井くんが部活で忙しい分、あんまりテスト勉強に当てる時間ないかなって思って...テストの要点をまとめてみたの』
丸井くんは私とノートを交互に見る
「すげえ助かるぜ!サンキューな桜宮」
『丸井くんの役に立てて嬉しいよ』
丸井くんがノートをギュッと握りしめてニコっと笑うものだから本当に作って良かったなって思う
「しかも超わかりやすいし!みんな見てくれよ、桜宮が作ったテスト対策ノート!」
丸井くんがそう言うとクラスメイトのみんなが一気に彼のもとへ集まる
「何コレすげえ!」
「超わかりやすい!」
「桜宮さんコレ徹夜だったでしょ?」
『うん...』
「桜宮、思ってること全部言ってみろぃ」
え?
その時ふと思い出した
テニス部のみんなと話した時のこと
“話せばみんな分かってくれるって!”
「桜宮、頑張れ」
丸井くんがそう言ったような気がした
『私...みんなの役に立ちたいの』
みんなの役に立ちたい
そうすることで自分はここに居ていいんだって...
存在意義を感じるから
「桜宮さんそんなこと考えていたんだね」
「知らなかった」
「意外と人想いなんだね」
「自己犠牲心強いとか健気だー」
すると私の肩に誰かの手がポンと乗る
「ほらな?みんな分かってくれたろぃ?」
『うん...!』
これもみんな丸井くんのおかげ
このテスト期間を機にクラスに打ち解けていった
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