校外学習@

まだクラスに馴染んでいない人(特に私)は少なからずいる


そんな中近々行われる校外学習

向かう先は新江ノ島水族館



班分けはくじ引きで決めるらしい

「次桜宮が引く番だぞ」

『はい』





なんだろう


みんなからすごく視線を感じる



“うわー桜宮さんと同じ班だったら嫌だなー”

“ねー絶対嫌だ。楽しい気分損なわれる〜”


痛々しいほど突き刺さる


私が引いた番号は8


下1桁が同じ人たちと同じグループになるというルール



「うわ18番...桜宮と同じだ」
「ドンマイ」


聞こえてないフリしても聞こえてくる...

「なあ、俺のと取り替えてくんね?」









「桜宮、同じ班だぜ」

『え?』


丸井くんは18と書かれたくじを私に見せてニカっと笑う


「水族館とかいつぶりだかな〜。桜宮、楽しみだな」

『う、うん...楽しみ!』


丸井強めだな、と交換に応じた男の子が言っていたのも耳に入ってこないくらい丸井くんの話は面白かった


どうやら丸井くんには2人弟がいるようで昨日も2人が疲れて寝るまでプロレスごっこをしていたんだとか





そう言えば丸井くんはテニス部に入部したらしい

なんでも屋上の花の水やりをしている時にグラウンドを走る丸井くんを見かけた


すごく頑張って走っていた



心の中で「頑張れ丸井くん」って叫んでいた


走る姿もとっても輝いていたなあ


私は何もしていなくても見た目が暗いせいで周りから恐れられてしまう


そんな私と丸井くんは裏腹で...
やっぱり私の憧れだなって改めて思った



「なあ桜宮、お前は何か部活入らねえの?」

『部活...』



私は特に何かがずば抜けてできることなんて特にない


あったとしても英語かな



けど地味な私が英語をペラペラ話してたら余計に怖がられるかなって思ってわざと話せないフリをしている



「ま、テニスしたくなったら俺がいつでも相手してやっからな」


基礎体力を上げるだけで今は精一杯だろうに私にそんなことにまで気を遣ってくれて如何に丸井くんが素敵な人なんだと思い知らされた


『ありがとう、丸井くん』

「いいっての!つか俺ちゃんと桜宮が笑ったトコ見たことねえから校外学習の時には見せてくれよな?」


確かに入学してから1回も心から笑ったことがない

しっかり丸井くんが思うように笑えるかわかんないけど...






校外学習当日

新江ノ島水族館に到着して同じグループだったはずのクラスメイトたちは「用がある」と言って別行動することになった


『クラゲ綺麗だなあ』


「うまそう...」


え?クラゲが?

お腹空いてるのかな?



『丸井くん、もしかしてお腹空いてるの?』

「バレたか」

『だって丸井くん、初めて会った時もお腹空いたって言ってその日何も食べずに来たんだって...』


「よーく覚えてんじゃん!」

忘れるわけがない、初めて友達ができた日


「ま、俺も忘れてねえけど」







丸井くんも覚えているんだ...


嬉しいな、丸井くんの青春の一部として私は存在できたんだ



「何だよ」

つい丸井くんを凝視してしまっていたらしい



『えっ、あまりにも丸井くんが眩しくて!素晴らしすぎてつい...!』


「んなの言われると照れんじゃんか」


そう言ってそっぽ向いた丸井くんの頬はほんのり赤かった

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