クラス

入学式前にクラスを確認しに行く


えっと...私のクラスは...


「D組、同じクラスだぜぃ!」

後ろからしたその声を辿るように振り返ると_________



























『丸井くん...?』


「おう!さっきぶり」


そう言って片手をヒョイっと上げる丸井くん



『名前、覚えててくれたの?』

「友達の名前を忘れるわけねえだろい」


幼い頃から地味だと言われ続けた私に友達と言える人はいなかった

けど丸井くんは私のことを友達って言ってくれた



『ありがとう...』

「クラス分かったんだし教室行こうぜ!」

『うん!』


















教室へ入ると出席番号順に座るように書いてあった


じゃあな、と告げて丸井くんは自分の席へ着いた
私も席へ掛けると周りの子たちは既に仲の良いグループができていた


みんな打ち解けるのが早いなあ

丸井くんの方を見てみると周りの席の男の子と和気藹々と話していた


私も、丸井くんみたいに友達作らなきゃ...!


『あ、あの...』

近くの席の子に声かけると


「な、何....?」

『私、桜宮まい。よろしくお願いします...』

「ああうん....よろしく...」


よろしくしてくれた

けれどすぐにその場を去って行ってしまった






















入学式が終わり、さっきよろしくしてくれた子も「バイバイ」も言わずに帰って行った


いつもそうだ


小学生の頃もうまく打ち解けられなくて
どう接したらいいのかわからなくて
















______________いつもひとりぼっちだった





屋上へ行くと小さな花壇があった


まだ何も咲いていない

すぐに芽が出るといいな...



近くにあったジョウロを手に取って水道の蛇口をひねり水を入れる


私もいつかこの花のように芽吹く時が来るのだろうか



そんな日がいつか、いつか....




本当に来るといいな



「あれ、こんなトコで何してんだ?」

『え?!』


今日何回彼に会っただろうか


丸井くん...



「花に水やりか?」

『え、うん...』

「これお前が植えたのか?」

『ううん、誰かが植えたんだと思う。そこに水をあげただけ...』


へえ、と言ってガムを器用に膨らます丸井くん

「お前やっぱいいヤツだな」

『そんなことないよっ!丸井くんの方がすごく素敵だよ!』


私の名前を忘れずにいてくれて
こんな地味な私に声かけてくれて
嫌な顔せず話してくれて
「友達」って言ってくれて


『丸井くんは私の憧れだよ...』

「まだ出会って初日だってのに俺のことそんな風に見てくれてたんだな」

『丸井くんは明るくて優しくて...すごく素敵な人だって、時間を要しなくても分かるよ』

「そんな言われると照れんだろぃ」


そう言って鼻の下をかく丸井くん


丸井くんは本当に私の憧れだよ

周りの人から必要とされて周りを明るくできる存在


私もいつかそうなりたいな

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