親友として

まいちゃんがテニス部のマネージャーになった

その話は一気に学年中に広がった




これを早乙女蕣さんが知らない訳がない


実際私のクラスでもその話で持ちきり


何であんな地味な子が、丸井くんに近づきたいだけ

______なんて言われ放題







まいちゃんの友達として一言言いたいけどきっとそれは逆撫ですることになる


仁王くんには言わせとけなんて言われたけど



どうしたものか...


丸井くんはまいちゃんが悲しむ姿を見たらきっと黙ってない

それはテニス部のみんなもそうだろう




屋上へ向かうと早乙女蕣さんがいた


「ここから何か見えるの?」

そう声をかけるとゆっくり彼女は振り返る



「別に...」

彼女が眺めていたところへ視線を合わせるとそこには丸井くんとまいちゃんが仲良さげに歩いていた


「好きなのね、丸井くんのこと」

「....悪い?」

「いいえ、全く」


私は知っている

体育祭の日、彼女が丸井くんに振られたことを



「丸井が誰を思ってるのかなんてわかってる」

それでもなお丸井くんを想う早乙女さん


「好きってどこから生まれるのかしらね...」

「知らないわよそんなの」


丸井くんを想う人は早乙女さんだけじゃない

他学年の先輩も丸井くんのことが好きっていう人もいる


そのほとんどが気持ちを伝えないで過ごしている

何も行動しないくせにまいちゃんに憎まれ口を言う人がほとんど


勝ち目がないってわかっていながら告白した早乙女さんは強い


「早乙女さんはまいちゃんが嫌い?」

「......丸井を困らせたりしたら許さない」



好きな人の幸せを願うって簡単にできるものじゃない

「私もまいちゃんには幸せになってほしいって想うの」

「私は丸井が笑って過ごせるならそれでいいの...別にまいちゃんの幸せとか願ってないから!」




丸井くんの幸せがまいちゃんの幸せってわかってるくせに


走って屋上を去って行った早乙女さん


顔可愛いんだからムスッとしてないで笑顔でいればいいのに




屋上の花壇を見るとチューリップの花が咲きかけていた


これは確か幸村くんとまいちゃんが育てているのよね

もうすぐ芽吹く時が来るのかしら...














教室に戻ると仁王くんが珍しく居た

いつもはサボっているのに


「最近ブン太が調子いいみたいぜよ」

「あら、誰のお陰なのかしら」



丸井くんは気持ちこそ伝えてないけどまいちゃんんのことをただのクラスメイトとは思ってなさそうだし

「おまんはどう思う?」

「どうって何が?」

「桜宮のことじゃ」

「先輩たちに嫌がらせとかされてないといいんだけど」




仁王くんたちはこれから始まる全国大会に向けて猛練習をしている


そして彼らを支えるためにまいちゃんがマネージメントについて独学で学び始めた



「どうしたのその本?」

『みんなの役に立ちたくて勉強しようと思って...』


2、3冊図書室から借りていたのは食事や栄養について



『この本はカラーイラストが付いていてわかりやすいの!あとこれはフローチャートになっていて...』



各選手に合ったサポートをしたいということでフローチャート式の本も借りたんだとか...


これを聞いたらみんな喜ぶだろうな

あと“丸井くんと近づきたいが故にマネージャーになった”ってほざく女どもにも聞いてほしいわ



「すごいわ〜まいちゃん!きっとまいちゃんのその気持ちがあればみんな張り切って全国1位の座を手に入れるわよ!」

そうかななんて照れる顔、とっても可愛い

きっとその役に立ちたいという気持ちはみんなに伝わっている

だからどんな過酷な練習でもみんな頑張ってる



テニス部のみんなは幸せ者ね!

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