君に会いたくて

丸井くん



どこにいるんだろう


柳くん曰くそう遠くには行っていないって言ってたけど...



道歩く人が多くて近くに居ても気付かないだろう



歩きながらキョロキョロしていると後ろから肩を叩かれた


振り返るとそこには...







『あれ、仁王くん?』


ジャッカルくんによれば丸井くんと一緒に屋台周りに行ったんじゃなかったっけ?

「おまんブン太探しとるのか?」


『うん...一緒じゃないの?』


「一緒じゃったが逸れてしまってのう、代わりに探してくれんか?」


え?

私が丸井くんを探すの?




「今頃ひとりぼっちで泣いてるかも知れんしのう」

ちょっと面白がってるよね仁王くん


『丸井くんには笑っていて欲しいから探しにいく』


「ブン太とはあそこで逸れたんじゃ」

仁王くんの指差す方へ私は向かう


丸井くんを探しに














それにしても夏といえど暗くなってきたな


そろそろ花火始まるのかな




それまでには何としてでも丸井くんを見つけなきゃ



けれどもなかなか丸井くんは見つからない


そろそろ足も痛くなってきた


履き慣れない下駄のせいもあるけど






そしてついにこれ以上歩けなくなって近くのベンチに腰をかける



みんな待ってくれているのに...



ごめんね、丸井くんを見つけることができなくて


役に立てなくてごめんね





自分の不甲斐なさに涙が溢れてくる




「桜宮?」


顔を上げるとそこには会いたくて仕方のなかった


丸井くんが居た






「一人で来たのか?ってか何で泣いてんだ?」


『ま...』


「ん?どうした?」



『丸井くんんん!!!!』

「おい、泣くなって!何があったんだよぃ」



だってずっとずっと会いたくて

せっかく着てきた着物を丸井くんに見てほしくて



そんな人に会えたら涙が溢れて止まらないよ



「とりあえず落ち着けって、な?」

丸井くんは優しく背中をさすってくれる



私が落ち着くまで丸井くんは隣にかけてゆっくり話を聞いてくれた




「そっか、心配かけて悪かったな」


丸井くんは謝ることないのに

けどこうやって合流できてよかったな




「あ、コレやるよ」

そう言って手渡してくれたのは可愛いクマのマスコット


「それさっき射的で取れたんだ。俺も同じの持ってんだ」


仁王くんと男同士でお揃いは抵抗があったらしく私にくれるとのこと


『かわいい...ありがとう丸井くん!』


「コレで罪滅ぼしな?」


あ、そういえば花火...


『あのね、テニス部のみんなが花火の場所取りしてくれているんだけど...』


「もう少しここでゆっくりしていかね?俺、桜宮とゆっくり話したことねえし」


丸井くん、こんな陰気な私と話したいことがあるのかな?


何だか嬉しい...


丸井くんはやっぱり優しくて素敵な人だな





「俺、桜宮から試合前にケーキ食べるっていうアドバイスもらってなきゃレギュラー入りなんてしてなかったと思う」


丸井くんは持久力があまりなくてみんなより多く走っていた


その光景を私は屋上から眺めていた


「だからそのお礼って訳じゃねえけどさ、俺から桜宮にケーキ作ろうって思ってんだ」


『え!?』

「ホントはサプライズか何かで渡そうと思ってたんだけどさ、お前鈍感そうだし」



鈍感かどうかはわかんないけど、いつも丸井くんは女の子たちから差し入れ貰っていて

その日のうちに全部消化しちゃう人


そんな人から直々にケーキを作ってもらえるなんて


『恐れ多いでず....』


「俺が誰かの為にケーキ作るって滅多にねえから遠慮すんなって」

そう言って肩をポンと叩いてくれる



『じゃあ...楽しみにしてるね』


「おう!」



























「丸井たち来ないね」

「既に合流している確率100%」

「全くたるんどる!」

「まあ真田も落ち着きんしゃい」

「ブン太が楽しんでいるなら俺はそれでいい」


「何だか桑原くん1人娘を可愛がるお父さんみたいね」

「俺はブン太を思って...!」


結局幸村くんたちと合流することはなく2人で花火を楽しみました


そしてその翌日の練習、丸井くんは真田くんにこっ酷く叱られたようです




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