球技大会に向けて

無事にテストを終えてクラスは球技大会に向けてホームルームで話し合いをしていた


担任の先生は負けず嫌いで絶対に勝ちたいらしい


「女子はテニスかバレーボール、男子はサッカーかバスケだ!」


テニスとバレーか

どっちも経験ないな...


そもそも球技はあんまり得意じゃないんだよな


「桜宮は何に出んの?」


隣の席の丸井くんが私に尋ねる



そうそう、最近席替えをしました

私の隣に座ると何だか重苦しい雰囲気になるそうで誰も隣に来てはくれなかったけど丸井くんだけは違った


「俺、桜宮の隣がいい!」

そう言って駆け寄ってきてくれたんだよね...


とても嬉しかったなぁ





「おーい、話聞いてるか?」

『えっと...まだ決めてないんだ』


つい浮かれてしまっていた...


「前にも言ったけど、テニスする時は俺がいつでも相手にしてやっからな!」

やっぱり現役の人から教わる方が効率いいよね



『じゃあ私、テニスに出るね』

「おう!俺がみっちり教えてやるから!」


私は仲の良い友達もいないのでシングルスで出ることになってしまった








その日のお昼休み


「桜宮さんテニスに出ることになっちゃったんだ」

優しく幸村くんは微笑んでいるけど私初心者だし
知っているのはルールくらいだ


「あの複雑なルールが理解できているなら大丈夫だよ」


あれ、やっぱり幸村くんってエスパー?


「ま、教えるのがこの俺だからな?」

「何を調子乗ってんだか」

「何か言ったか?ジャッカル」


きっと丸井くんには弟が2人もいるから面倒見がいいんだろうな

だからこんな地味な私でも気にかけてくれるんだ


『丸井くんが良ければ...練習に付き合って欲しい...です』

「何でそんな堅いんだよ...いいに決まってんだろぃ!」



けど丸井くんは朝練に加え、放課後の練習...

ただですら休む暇もないのに



私の練習に付き合ってもらっていいのかな




「とりあえず今日の放課後は練習なしの日だからコート借りて基礎的な事をたたき込んでやるから!」

「俺も見てあげる」

「幸村が言うならば俺も参加しよう」



なんだかんだ皆さんが私に基礎を叩き込んでくれることになりました...






放課後



「こうやってラケットを持つんだ」

丸井くんが一つ一つ丁寧に教えてくれる


「ラケットの振り方はこうだ」

ジュニア界では名高い真田くんに素振りの仕方を教えてもらい...


「タオルの先端を一つに結んで今の振り方を家の中でも練習することができる」

柳くんが家でもできる練習法を教えてくれたり


「じゃあ打ってみようか」

球出しを幸村くんにしてもらって...
すごく有意義で贅沢な練習をさせてもらった



コートのサービスラインからジャッカルくんが左右に軽く球出しをしてそれを打ち返すという基本的な練習までできるようになった

「初日でここまでできるだなんてすごいなあ」

「あの幸村が関心するとはのぅ」

「いいデータが取れたな」


テニスって楽しいな

最初は空振りばっかりしてて恥ずかしかったけどみんなのフォローがあって何とか打ち返すことができるようになった





「じゃあ今日はここまでにしよう」

「ええー!幸村くん早すぎんだろい!」

「桜宮さんの体力面から見てこれ以上すると明日大変なことになるから」


それに...と幸村くんは目を細めてこちらを見る




「“楽しい”って気持ちのまま終わって欲しいんだ」


確かに限界まで頑張って辛いって思ったら練習するの嫌になっちゃうな

幸村くんはやっぱりエスパーだ



『今日は練習に付き合ってくれてありがとうございました!』

「どういたしまして」

優しく微笑む幸村くん


「いつでも相手になってやる」

真田くんの相手はちょっと怖いな...
















この練習を誰かが見ていたなんて思いもしなかったんだ

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