銀色ジャスティス | ナノ


▼ ああ やっぱり我が家が一番だわ

『ない…』


タンスをいくら見ても、タンスから全部出しても見つからないモノ。それは女の子にとって大事なモノ。
ない…ないよ…っ。


『どうして…』


どうしてお気に入りの下着が見つからないのォォォ!!


『ふっざけんなよコノヤロウ。高かったんだぞアレ!』


明日の会議の議題にしてやる絶対してやる。そう心に決めて眠りについた。
その日は、よく眠れなかった。





第十七訓
ああ やっぱり我が家が一番だわ





翌日。


「――以上だ。何か他にあるか?」

『はい!』

「おお、珍しいな。風香が手をあげるなんて」

『あたしの下着盗んだ奴挙手。今なら四分の三殺しで許してやる』


ああ、あたしはなんて優しいんだろう。だって四分の三殺しだよ。普通なら即死刑だからねコレ。


「「「…………」」」


みんな一斉に黙った。ちらりと顔を見ると、赤面してる奴や鼻血を出してる奴、俺が欲しかったとかほざいてる奴がいた。


「風香、どーいうことだ」

『うん、実はね、宇宙旅行から帰ってきてタンスあけたら下着が数枚なくなってたんだよ、ワトソン君。しかも全部お気に入りの勝負下着だったのにだよ!んで、屯所には女はあたし一人しかいない=誰かが盗んだっていう方程式ができるワケだ。わかったかなワトソン君。……いや、うん、ふざけすぎたねごめんワトソッ…土方さん。お願いだからその振り上げた拳をおろして』

「だァァァれがワトソン君だ!!」


土方さんがどーいうことだって聞いてきたんじゃん!だから答えんじゃん!なのに殴るってひどくない!?いや確かにふざけすぎたのは自覚済みだけど。


「誰もテメーの下着なんか盗まねーだろィ、誰もな」

『ああん?てめ コノヤロ、表出ろや』

「つーか女って誰ですかィ?」

『目の前にいんだろコノヤロー』

「え、目の前?メス豚しかいやせんが」

『上等だコノヤロー!!表出やがれェェェ!!』



***



あのあと、土方さんにうるさいと怒鳴られたあたしと総悟は仕事しろと殴られた。つーか同じとこ殴るとかマジ鬼畜だわあの人。
見廻りをしていると、ファミレスに銀時がいた。さっき万事屋に行った時いなかったから見つかってよかった。すかさず店内に入る。



「あ〜〜?下着泥棒だァ!!」

「そーなんスよ、僕が旅行中に二回もやられたらしくて」

『旅行中に下着が数枚消えた。屯所の連中は役に立たないの、なんとかなんない?』


席には銀時の他に新八、神楽、お妙がいた。どうやらお妙も被害にあったらしい。


「昔の人はよォ 着物の下はノーパンだったらしいぜ、お姫様も。お姫様なのに着物の下はもう暴れん坊将軍だよお前。そのギャップがいいんだよ。おしとやかな顔して暴れん坊将軍かい!みたいな…」

『あのね、銀時のノーパン談義はどーでもいいの』

「こちとらお気に入りの勝負パンツ盗られてんだぞコラ」

「勝負パンツってお姉サン方誰かと決闘でもするのかイ?」


お妙と二人で銀時の顔を鷲掴みにする。


「大体何がしたいんだお前らは。その勝負パンツが戻ってくれば気がすむのか?」

『「パンツを取り戻したうえでパンツを盗んだ奴を血祭りにしたい」』

「もう発言がパンツをはく文明人の発言じゃねーよ、裸で槍をもって野を駆ける人の発言だよ」


神楽も一肌脱ぐと言ってくれた。お妙と神楽は杯を交わすと言って店を出た。あたしはパフェを食べていたのでついていかなかった。


『てゆーかさ、あたしの犯人はまだわかんないけどお妙の犯人なら目星ついてんしょ?』


そう、近藤さんだ。近藤さんはあたし達のテーブルの下にいた。


「なんだァァァァ!!まさか俺を疑っているのか貴様らァァ!!侍が下着泥棒なんて卑劣なマネするわけないだろーがァ!!」

「侍がストーカーなんてするわけねーだろーが」

「ストーカーはしても下着ドロなんぞするか!訴えるぞ貴様!!」

『いや訴えられんのアンタだから』


銀時は「これで真選組解体か〜、めでてーな〜」とか言っていた。それに慌てる近藤さん。コレを見ろと大江戸新聞を見せてきた。


『何これ?またも出没 怪盗ふんどし仮面』

「最近、巷を騒がしてるコソ泥だ。その名の通り風体も異様な奴でな。まっかな褌を頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇を駆け、キレーな娘の下着ばかりをかっさらいそれをモテない男達にバラまくという妙な奴さ」


よし、そいつ血祭り決定な。


「そーか、このパンツにはそーゆう意味が!俺ァてっきりサンタさんのプレゼントかと…」

『あ、銀時もらったんだ』

「フハハハハハ!そりゃあお前 モテない男と見なされた証拠だよ、哀れだな〜」

『近藤さん、アンタそんな事言ってるけど見えてるから。懐からモテない男の勲章が見えてるから』


結果:銀時と近藤さんはモテない。


「んで、風香とお妙の下着かっぱらったのもコイツの仕業だと…」

「ああ。今や江戸中の娘達が被害にあってる。しかし民衆、特にモテない男になまじ人気があるため同心連中もなかなか捕まえるのに苦労してるようだ」

「ケッ ただの変態のくせにいっぱしの義賊気どりか。気にくわねー、気にくわねーぜ。なんで俺がモテねーのしってんだァァァァァ!!」

『「「ああああああ パンツぅぅぅ!!」」』


銀時はパンツを破いた。

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