銀色ジャスティス | ナノ


▼ 喧嘩はグーでやるべし

『あー…昨日は散々だった』


土方さんに殴られた頭はまだ痛く、ズキズキする。そんな時に聞こえてきた声がこれってどうよ。



「副長オオオオ!!」

「局長が女にフラれたうえ」

「女を賭けた決闘で汚い手使われ負けたってホントかァァ!!」


バ レ て る 。

ヤベェどうしよう。昨日調子にのって総悟に言っちゃったよ。総悟が皆にバラしたんだどーしよう。



PLLLLL! PLLLLL!



携帯が鳴った。ディスプレイを見ると今一番聞きたくない声の相手だった。無視したらしたで面倒臭い事になるのでピッとつけた。


<風香ァ!!今すぐ会議室に来い!今すぐに!!>


ヤベェあたしがバラしたってバレてらっしゃる。
行きたくないなと思いながらあたしは会議室に足を運んだ。






『ハロー土方さん。ご機嫌うるわしゅう?』

「殺されてーのか」

『目ェ血走ってるよ瞳孔開いてるよ大丈夫?』

「てんめー昨日の事を総悟に吹き込むたァどーゆー了見だ」


だって理不尽に頭叩かれたから誰かに聞いてほしかったんだもん。そしてたまたまいた総悟に聞いてもらっただけだもん。


「ちなみに俺は土方さんにもききやした」

『………………』



─ザシュッ…パラパラ…



土方さんのいた所に刀が刺さる。当然あたしが振りおろしたものだ。


「……(あっぶねー)」

『……(チッ、避けやがって)』


シーンと静かになる会議室。だがまた騒がしくなる。


「なんだよ結局アンタらが火種じゃねェか!!」

「偉そうな顔してふざけんじゃないわよ!!」

「って事は何?マジなのあの噂!?」


土方さんはとうとうしびれを切らし、


「うるせェェェぁぁ!!」


灰皿や茶飲みが乗った机を蹴飛ばした。


「会議中に私語した奴ァ切腹だ。俺が介錯してやる。山崎…お前からだ」

「え゙え゙え゙!?俺…何もしゃべってな…」

『ザキ何言ってんの。しゃべってんでしょーが、現在進行形で』


そう。シーンとなっていたの事に気づかなかったザキは土方さんの餌食になってしまったのだ。なんて哀れな。 
土方さんがザキの胸ぐらを掴み刀を持ったと同時にガララと襖が開けられた。


「ウィース。おお、いつになく白熱した会議だな。よ〜〜し、じゃあみんな今日も元気に市中見廻りにいこうか」


左頬を腫らしガーゼをした近藤さんによって。


「ん?どーしたの?」

「ハァ」


小さくため息をついた土方さんに、今回ばかりは同情したくなった。




第三訓
喧嘩はグーでやるべし





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