銀色ジャスティス | ナノ


▼ 喧嘩はグーでやるべし

【白髪の侍へ!!
 てめェコノヤローすぐに真選組屯所に出頭してこいコラ!一族根絶やしにすんぞ
                真選組】


そう書かれている貼り紙を電柱からはがしながら土方さんに問う。


『え?斬る?件の白髪の侍を?』

「ああ、斬る」


貼り紙はバケツいっぱいだ。何やってんだよあの隊士バカども。はがすのめんどいし真選組の評判ガタ落ちじゃないか。


真選組うちの面子ってのもあるが、あれ以来隊士どもが近藤さんの敵とるって殺気立ってる。でけー事になる前に俺で始末する」

『土方さんは二言目には「斬る」で困る』

「古来暗殺で大事を成した人はいませんぜ」

「暗殺じゃねェ、堂々と行って斬ってくる」


それで負けたら無様だよな。


『そこまでしなくても適当に白髪頭の侍見繕って連れ帰りゃ隊士達も納得するって』

「風香の言う通りでさァ。これなんてどーです。ホラ、ちゃんと木刀もちな」

「ジーさん、その木刀でそいつの頭かち割ってくれ」


総悟はホームレスらしきオッサンに木刀を持たせた。そして眼鏡をとったら……。


『「武蔵じゃん」』

「何その無駄なカッコよさ!!」


ホームレスらしきオッサンに手を振り別れる。


「マジで殺る気ですかィ?白髪って情報しかこっちにはないってのに」

「近藤さん負かすからにはタダ者じゃねェ。見ればすぐわかるさ」


たしかにアイツはタダ者じゃない。




「おーい、兄ちゃん危ないよ」




「!」


上から声が聞こえ見上げると木材が落ちてきた。



「うぉわァアアアァ!!」



それを間一髪で避ける土方さん。……チッ。


「あっ…危ねーだろーがァァ!!」

「だから危ねーっつったろ」

「もっとテンションあげて言えや!わかるか!!」

「うるせーな。他人からテンションのダメ出しされる覚えはねーよ」


一人の男がはしごからおりてきた。そしてかぶっていたヘルメットを外す。


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!てめーは…池田屋の時の…」


銀時でした。


「そぉか…そういやてめーも銀髪だったな」

「…えーと 君、誰?」


銀時は土方さんの肩に手を置き話しだす。


「あ…もしかして大串君か?アララすっかり立派になっちゃって。なに?まだあの金魚デカくなってんの?」

『ぶふっ!』


何の話!?思わずふいちまったよ!



「オ――イ!!銀さん早くこっち頼むって」



「はいよ。じゃ、大串くん俺仕事だから。風香もまたな」


銀時はまたはしごを登っていった。


『いっちゃったよ。どーすんの大串君』

「誰が大串君だ」

『いたっ!ちょ、なんで殴るの!ねぇ!?』

「あの野郎少しの間で人のこと忘れやがって。総悟、ちょっと刀貸せ」

『無視か』



総悟から刀を借りた土方さんは銀時の後を追うようにはしごを登った。さてあたしも登ろうと思い足を一歩踏み出したら総悟に隊服の襟をつかまれた。



『ちょ、何すんの!?』

「何って見学に決まってまさァ」

『はァ!?嫌だあたしあっち行く!』

「(とても年上にはみえやせんよ、風香…)」



あたしは総悟に無理矢理別の屋根に連れていかれた。

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