▼ 困った時は笑っとけ笑っとけ
「決めた、わしゃ宙にいくぜよ」
いつだったか、攘夷時代に辰馬はそんなことを言っていた。
「このまま地べたはいずり回って天人と戦ったところで先は見えちょる。わしらがこうしょる間にも天人はじゃんじゃん地球来ちょるきに。押しよせる時代の波にはさからえんぜよ」
確か、あたしと銀時と辰馬の三人で屋根にいたんだっけか。夜だった。星が、綺麗だった。
「こんな戦はいたずらに仲間死ににいかせるだけじゃ。わしゃもう仲間が死ぬとこは見たくない。これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ。そう 地球人も天人も、いや星さえも見わたせる高い視点がのー。だからわしゃ宙にいく」
『………』
「宇宙にデカい船浮かべて、星ごとすくいあげる漁をするんじゃ」
どうやら辰馬の意志はかたいようだ。
「どうじゃ銀時 風香?おんしゃらこの狭か星にとじこめておくには勿体ないデカか男と女じゃけー。わしと一緒に…」
「ぐーぐー」
『Zzz…』
「アッハッハッハッハッハッー 天よォ!!コイツらに隕石ば叩きおとしてくださーい。アッハッハッハッ」
第十六訓
困った時は笑っとけ笑っとけ
落ちた星は辺り一面が砂漠だった。
ヤバい、軽く走馬灯見ていたような…いや気のせいだ。
「はっ!!ハハ 危ない危ない。あまりにも暑いもんじゃけー昔のことが走馬灯のように駆けめぐりかけたぜよ。何とか助かったってのに危なか〜」
「助かっただァ?」
『コレのどこが助かったっていうの…』
こんな一面バーさんみたいな星に不時着しちゃってどうしろっての?太陽が二つあんだけど。なんでなの、なんで太陽二つもあんの。
「大体テメーが舵折らなきゃこんなことにはならなかったんだぞ」
「アッハッハッハッ 前話のことなんか忘れたぜよ!男は前だけ見て生きてくもんろー」
「なーにすっとぼけてんだこの毛玉ァ!!」
『銀時うっさい。暑いから騒がないで殺されたいの』
辰馬の胸ぐらを掴む銀時の服の裾を掴む。頼むからこれ以上暑くしないで。頼むから。
「神楽ちゃんも大丈夫?キミは元々日の光に弱いんだからね」
「大丈夫アルヨ、傘があれば平気だヨ。でも喉かわいたからあっちの川で水飲んでくるネ」
「川ってどこ!?イカンイカンイカン!その川渡ったらダメだよォォ!!」
歩き出した神楽。それを止めるために新八は神楽に飛びついた。
「とっつァんもう勘弁してくれ。俺ァボクシングなんてもうどーでもいいんだ。水が飲みてーんだよ」
「誰がとっつァんかァ!銀さんヤバイよ!!神楽ちゃんが三途の川渡ろうとしてる!!」
急いで銀時に報告する新八。万事屋のオカンは君だよ、やっぱり。
「おーい、しっかりしろ神楽」
「とっつァん、やっぱ俺ボクシングやってみるよ」
「あ、ダメだこりゃ。目がすわっちゃってる。しょーがねーな、あっちの川で水飲ましてくらァ」
「お前も見えてんのかいィィ!!」
神楽の頬をペチペチと叩いても反応しないので、銀時はおぶり川に行ってくると言った。それにツッコミを入れる新八。銀時の頭にかかとがキレイに入る。
「何言ってんの、見えねーのお前ら。あ 結野アナもいる〜、結婚してくれ〜」
「何をバカなことゆーちょる…あっ おりょうちゃんだ!!結婚してくれェェ!!」
「あー もうダメだ!誰も信用できねー!おしまいだァァ!!」
『ぱっつぁん、まだあたしがいるじゃないか』
頭を抱える新八に声をかける。
「風香さん…そうだ、風香さんがいる!」
『でもあっちの川で土方さんが呼んでるからちょっと待ってて』
「おしまいだァァァァ!!」
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