テスト
「……が大き……ったら、……へ行…うな!」
『えぇー! 今教…て…よ!!』
「…はまだ……早……て、分から……」
『…んと? …約束だよ?』
「あぁ、約束だ。」
ピピピピッ ピピピピッ ピピッ……
『……(何の夢見てたっけ)』
けたたましく鳴る目覚まし時計を止め、凛はムクっと身体を起こす。
『……メンドイ、行きたくない。』
彼女の寝惚け眼が見つめる先は、ハンガーにかかった学校の制服。
転校してきて僅か1週間しか経っていないにも関わらず、余程面倒くさいようで…顔を歪めて制服を睨み付けている。
でもサボる気はないのだろう…
ピッといつも通りにTVを付け、ゆっくりとした動作で布団から出ようとする。
だがー
『い¨ッ……! …ァ……』
片足をベッドから降ろして立ち上がった瞬間、突如頭を押さえてその場に崩れる彼女。
そして2-3分経った頃…
未だ痛みが治まらない頭を押さえながら、部屋の隅にある戸棚を目指して膝を引きずり歩く。
パキッ パキッ
『(昨日の分)……忘れてた』
辛そうな顔をしながらも、錠剤を2粒取り出す凛。その慣れた手際から、これも一つの日課なのだと窺える。
ゴクッ
『……どうしようかな。
……こういう日はろくな事が起きない。』
何を思い返しているのか。
ぼぉっと空をしばらく見つめた後、それでもやはり学校へ行くことに決めたのか…台所へと向かい、いつもの朝食を作り始める。
『…今日、テスト?』
誰もいない部屋で1人。
誰に聞くでもなく、そう首を傾げて呟く凛…きっと、テストがなければ彼女は学校を休んでいただろう。
- 10 -
[*前] | [次#]
ページ:
【back】