お便り6
【鯉菜さんは、達也のどこが好きなんですか】
『お母さん、お父さんのどこが好きなの?』
「………………それ言わなきゃダメ?」
『え、談話室の質問には答えなくちゃいけないって…お母さんが私に教えたんだよ?』
「そ、そうね…はい、お答えします。
……どこがって言われると…
やっぱり人情味があるとこかしら。」
『人情味?』
「うん。お父さんさ…たまにバカだろっていうぐらいお人好しなことがあるんだけど、」
『(誉めてんのか貶してんのか…)』
「でも、そんなところに私は一番惚れたかな…憧れでもあるけど。それに…先生と話してたら…時々お父さんと話してるような感じがして落ち着くんだよねぇー…」
『???
先生? …お父さんって、おじいちゃんのこと? それともお父さんのこと??』
「あっ。(つい昔の感覚に陥っていた。)
何でもない何でもない! 今のは間違えただけ、気にしないで。
…要はね、
お母さん、お父さんと一緒にいると落ち着くから。それにお父さん…なんだかんだ言って私の良き理解者だし。だからお父さんのこと好きになったの!」
「そーかそーか! ふぅ〜ん…♪」
「!!!!」
『…あれ、お父さんいたんだ。』
「おぅ、ただいま菜也!
…た・だ・い・ま☆鯉菜♪」
「……じ、」
『「じ?」』
「実家にしばらく帰らせて頂きます!!」
『「ええええええ!!??」』
『お、怒ったの!?』
「怒ってないわよ!」
『キレてんじゃん!?』
鯉菜がログアウトしました。
「…まぁ菜也、落ち着け。
母さんは今な、非常に恥ずかしくて、穴があったら入りたい状態なんだ!!
しばらくそっとしといてやれ…」
『え、あのレベルで!? どんな照れ屋!?』
「つぅかお前は大丈夫かもしれないけど、今ここでオレが行ったら『図にのんなよ』って埋められる。」
『埋められるの!? っていうかお母さんて鬼嫁なの!?』
「鬼嫁っつぅか…
恥ずかしい時はバーサク状態になって危険になるだけだ。面白いだろ?」
『(……確かに、お父さんはお母さんの良き理解者かも……)』
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