未来は(沢田side)


オレが未来に来てからどのくらい月日が経っただろう。
この世界の…10年後のオレは死んでいて、ボンゴレは壊滅。オレだけじゃない。リボーン含むアルコバレーノに、山本のお父さんや中学の同級生も何人か亡くなっている。

敵は、ミルフィオーレ。

彼らさえいなくなれば…
オレたちが修行して強くなって、奴等を倒すことができたら…きっと…
そのためにも今は、ボンゴレリングを持った守護者全員を集めなくちゃいけないんだ。


「…そういえば、その守護者の中に奴良は含まれてるんスか?」


何気なく、そう聞いた獄寺くん。
オレは奴良さんのことも無意識的に含めてたけど…そういえばリング戦の時、リボーンは奴良さんが他の守護者とは違うことを言ってたっけ。


「…てゆーか、この時代の奴良さんはどこにいるんだ? リボーン。」

「奴良組ももう壊滅した。」

「えっ…!?」


答えたのはリボーンじゃなくて、門外顧問の1人であるラル・ミルチ。


「この時代のお前…沢田が殺されるや否や、妖怪狩りが始まったんだ。正式にはその後だな…ボンゴレ狩りが始まったのは。」

「ちょ、ちょっと待って! じゃあ奴良さんはもう…いない、ってこと…なのか?」

「…死亡確認はされていない。
オレ達が駆けつけたときには既に、藤組はもぬけの殻だったんだ。だから情報もなく、詳しくは知らねぇ。要は、全員行方不明ということだ。
奴良組本家の方は散ったとの連絡があった。集団でいるよりも1度散らばった方が安全だと踏んだんだろう。そのうち凍夜がこっちに来る筈だ。」

「と、凍夜って…誰だっけ…? 」

「…何だ、10年前ではまだ知り合ってないのか? 凍夜は奴良菜也の従兄だ。奴良組4代目を引き継いでる奴だ。」

「そういえば…夏祭りの時にあったことある!」


わ、わけが分からない…!
確かに奴良さんの家はヤクザだって聞いてたけど…じゃあこの時代では奴良さんが藤組を引き継いで、奴良さんの従兄の凍夜さんが奴良組を引き継いだってこと!?


「…だが、凍夜がこっちに来ると最後に連絡を寄越したのは2週間前だ。既にこっちには着いてもいい頃合いなんだが…」

「連絡とれねーのか?」

「あぁ…。
…まぁ、ぬらりひょんの血筋を持つアイツだ。
大丈夫だろう。」

「ぬらりひょん?」

「?
会ったことはなくとも、菜也の従兄なんだから考えたら分かるだろ。凍夜も妖怪の血を継いでんだ。」

「なっ…!?」

「妖怪ー!??」

「?」


何をそんなに驚いてるんだ、って顔でラルはオレたちを見てくるけど…妖怪って初耳なんだけど!
奴良さんってただのヤクザ組じゃないのか!?
山本も驚いてるし、獄寺くんは…あれ、なんだか嬉しそうに見えるのはオレの気のせいかな。


「…てゆうかリボーン!
お前知ってたのか!? お前だけ驚いてないぞ!」

「知ってたぞ」

「何で教えてくれないんだよ!」

「何でオレがそんなこと教えなくちゃならねーんだ。そんなことは本人と直接会って聞け、バカツナ。」

「痛っ!!」


衝撃の事実…
奴良さんの家はヤクザじゃなくて妖怪任侠一家なんだ。でも今まで妖怪なんてオレ見たこともないんだけど、本当にそんなのいるのか?


「あ、もしかして…リング戦の時に奴良が姿を変えたのって。」

「あ」

「妖怪…だから?」

「じゅ…10代目!
オレ、傷を治す妖怪がいるのか調べてきます!!」

「えっ、ちょ、獄寺くん!?」

「ハハハ! アイツ本当おもしれーよな。」


ダダッと目を輝かせて何処かへと去っていった獄寺くん。そんな彼を見て山本は爆笑、リボーンは「相変わらずオカルト馬鹿だな」なんて呟いてる。
そうか…うっすら感じてはいたけれど、獄寺くんってやっぱりそういうの好きなんだ。

彼女も未来へ来るのか、来ないのか、分からないけれど…でも来た時には、まずはちゃんと妖怪の話をしよう。
奴良さんが姿を変えて治療した時から、全く彼女とまともな話ができていない。それどころか、目も合わせようとしてこないのだ。


「…奴良がもしこの時代に来たらショック…だよな」

「確かに…家族が行方不明なんだもんね…」

「…だが、来たからにはちゃんと現実を知らせねーとな。それと、妖怪のこともヤクザのことも、本人に聞け。オレは口止めされてるから言えねぇんだ。」


リボーンのそんな言葉を聞きながら、ふと疑問に思った。何で奴良さんは、今まで妖怪であることを教えてくれなかったんだろう。何でわざわざリボーンに口止めなんかしたんだろうって。


「なぁ、リボーンは何で口止めされたんだ?」

「…"妖怪"だって明かされて、全員が"はいそうですか"って今まで通り仲良くしてくれるとでも思ってんのか、バカツナは。」

「それって…つまり…」


いつもクールで、サバサバとしてて、仲良くない人のことなんかどうでもいいのかなって思ってた。山元が自殺未遂を起こした時だってそうだし。
でも、奴良さんだって本当は…


「…もしかしたら奴良もさ、秘密抱えて悩んでたのかもしれねぇな。」

「……うん…
今度奴良さんと会ったら、ちゃんと皆で話そう!」

「だなっ!」


山本とそう二人で話して、再び各自修行に向かう。
山本はリボーンが。獄寺はこの時代のビアンキが。オレはラルとこの時代の雲雀さんに、この時代の戦いを教えてもらっている。


「元の時代に戻れるように、頑張ろう…!」


そう意を決して、オレ達は戦いに備えていった。

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