フルティンじゃあありません。


『おはよー…って、何このお祭り騒ぎ。』


眠い目を擦りながらも学校に行けば、何故か教室はお祭り騒ぎ。
というか教室の出入り口でたむろするの止めてくれないかしら…入れないんですけど。少し離れて謎の騒ぎを見守っていれば、1人の男の子が胴上げされたまま何処かへと連れ去られる。

『…今の誰だっけ。確か…沢田綱吉…?』

悪い意味で確か文武両道な人だ。
テストもスポーツも何もかもがダメで、「ダメツナ」と周りから呼ばれているクラスメイト…だったはず。そんな気弱な彼が何故胴上げされたのだろうか。

「面白くなってきたな!」
「道場へ見に行こうぜー!」
「行こ行こ!!」

…道場?
そういえば沢田を胴上げしてた軍団は皆剣道の防着を着てたな…てことは剣道道場か?
そんなことを1人考えながらも、ようやくスッキリとした教室の出入り口を通る。そして自分の席へと向かっていれば、

『ぐえっ!?』
「ほら、アンタも行くよ!」

突如、襟元を後ろから引っ張られる。
私をこんな扱いをするなんて…お前は花ちゃんだな!?

『ちょっ、放っておけばいいじゃん! だいたい何の騒ぎよこれ!!』
「京子が昨日帰り道に全裸の沢田に告白されたんだって。」
『は?』

振り向きざまに問えば、予想外な答えが返ってきた。なんとも間抜けな声が出てしまったけれど…これは仕方がないだろう。
あの沢田が…まさか全裸で告白するなんて誰が思うだろうか。告白するだけでも吃驚なのに、全裸でだぞ!?

「持田先輩ったら、
京子を泣かせるヤツはオレが許さん!!
って怒ってるのよ。」
「泣いてないし!」

ムフッと楽しそうに笑う花ちゃんの言葉に、京子ちゃんは泣いてないと否定する。泣いたか泣いてないかなんて…ぶっちゃけ私にはどうでもいい!! 問題はー

『…京子ちゃん、
全裸で告白されたって…その、フルティンで告白されたの?』
「アンタは何聞いてんのよ、つーかフルチンでいいじゃない。」
『痛い!』

何故頭を叩くのかね花ちゃんやい。
ちなみに京子ちゃん曰く、パンツは履いていたとのこと。持田先輩と2人で帰っていれば、空から裸の沢田が目の前に現れ…「オレと付き合ってください!!」と言われたらしい。
何かもう…どこから突っ込めばいいのか分からなくて面倒なことこの上ない。
取り敢えず一言感想を言うならば…

『沢田にいったい何があったんだ!? である。』
「何1人でブツクサ喋ってんのよ。
ほら、京子も菜也も…行くわよ!!」

花ちゃんに背を押される私と京子ちゃんは、
なしてそんなノリノリなん? という疑問を呑み込み、そのまま流れに任せて道場へと向かうのだった。


(『つぅか何で道場?』)
(「剣道部主将の持田先輩自らが沢田を成敗するそうよ。」)
(『…成敗…ねぇ。』)

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