妖怪?


『ただいまー!』


赤ん坊に会ったあの後…
京子ちゃんと一緒に帰っていれば、持田先輩が何処からともなく現れた。「よう京子! 偶然だな、一緒に帰ろうぜ!」なんて彼は言っていたけれど、あれは絶対にスタンバっていたと思う。しかも「お前は帰れ」と私に目で訴えてきやがった…アイツは私の暗殺リストに強制追加です。

とまぁ…なんやかんやでようやく家に着いたわけだが、

「おかえり、菜也。」
「おぉ…久方ぶりじゃのう、菜也。」
「あら、随分と美人になったじゃない。」
「お邪魔している。」
『羽衣狐さんに狂骨さん!! 白蔵図さんまで…皆さんお久しぶりです!!』

リビングの戸を開ければ、羽衣狐さん率いる京妖怪とお母さんがお茶を飲んで寛いでいるではありませんか!
羽衣狐さんは人間に憑依して転生を重ねる妖狐であると同時に、京妖怪を統べる高位妖怪らしい。詳しい事はよく知らないが…昔は奴良組と敵対していたようだ。けれど、リクオ叔父さんが羽衣狐との因縁を断ち切ったとのこと。

『今日はどうしたんですか?』
「なに…菜也が中学生になったと聞いたのでな、祝いに来たのじゃ。」
「おめでとう! 大人になったわね〜。」
『ありがとうございます! まさか皆に祝って貰えるとは…嬉しいです!』
「これで酒が飲める歳になったな!」
『アハハ…私は人間の血の方が濃いので、まだ早いですよ白蔵図さん。』

ニコッと素敵な笑顔で祝ってくれる羽衣狐さんと狂骨さんに対し、白蔵図さんは一升瓶の銘酒を取り出す。妖が13歳で大人になるのは知っているが…私は1/8しか妖の血を引き継いでいないのだ。お酒はまだ早過ぎるんじゃないだろうか。

「…して、学校の方はどうなのじゃ。友達はたくさんできたか?」
『はい!
と言っても…小学校からの友達が皆いるので、新鮮さはありませんね。』
「ふぅん…それはそれで良かったじゃないかい。友達と離れるのは辛いだろうし。」

狂骨さんの言う通りだ。
京に引っ越す時、友達と家族と離れるのが悲しくてたくさん泣いた覚えがある。そして引越しの原因を作ったお父さんと確か…喧嘩したような気がする。
そんな懐かしい記憶を思い起こしていれば、白蔵図さんが「そういえば…」と口を開いた。

「学校に妖怪が紛れていたりしないのか?」
『学校に?
…うーん…そんなに見かけないかな。時々通りすがりの小妖怪とかなら見かけるけど…
あっ! でも今日変なのに会いましたよ!!』
「「「「変なの…?」」」」

私の言葉に皆が不思議そうに首を傾げる。…私はそのハモリ具合に吃驚だよ。

『そう、変なの!
スーツ着て、二足歩行して、普通に言葉を話す挙句…本物っぽい銃を持つ赤ちゃん!!』

そう返せば、
4人は眉を寄せながらお互いの顔を見、
そしてー


「「「「妖怪に違いない。」」」」


…と、
またもや息をピッタリ合わせて答えたのだった。







(『でも妖気しなかったんですよ。』)
(「人間に上手く変化してるのよ。」)
(『それなら普通赤ちゃんには変化しないと思うんだけど…』)
(「赤子にしか変化できぬ雑魚じゃろうて。」)
(『でも銃を持ってたし…』)
(「それなら鯉菜殿だって持っているぞ?」)
(『…え!? そうなの!?』)
(「うん、使ってないけど持ってるよ。」)

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