この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 1-4)元気でね

ミサノちゃんとアサカさんが奴良組に一週間…
遂に帰る時が来た。


「忘れ物はない? アサカちゃん」
「はい、大丈夫ですミサノ様!」

来た時の服に着替え、奴良組の庭に立つ2人。
この一週間…色んなことをした。
授業に出ているリクオをからかいに行ったり、女子グループでご飯を仲良く作ったり、妖怪達とワイワイ追いかけっこもした…。

「…一週間、あっという間だったな。」
『本当ね…でもなんだか不思議な感じ。ついこの間会ったばかりなのに、もうずっと前から奴良組にいたような…』
「あぁ…少し寂しくなるな」

綺麗な月光が2人を照らす中、夜リクオとお父さんと共にこの一週間のことを思い返す。
まだ最近のことなのに、2人が来た頃が随分と懐かしく感じる。

「リクオ様、狭間妖怪の準備が整ったようです。」
「そうかい…
じゃあ、アンタら…準備はいいかい?」

夜リクオが2人に問いかければ、2人共顔を見合わせて頷く。
「いろいろお世話になったわね。
少しの間ではあったけれど楽しめたわ、元気でね」
「短い間だったけどありがとう…楽しかったよ!
あっ、そうだ…氷麗ちゃんにこれをあげる。」
そう言って、氷麗の元へ行くミサノちゃんが取り出したのは…チョーカー。

「えっ…いいんですか? 貰っても…」
「うん! 大切に使ってね♪
それじゃ…アサカちゃん、行こっか!」
「はい!」

ありがとうございます、と嬉しそうに笑う氷麗。
そして遂に…


ドオオオオオォォォォ……ン…


「…おいおい…雷か?」
『来た時も雷だったなぁ…そういえば。』
「…焦げてなかったらいいけどな」
『来た時焦げてなかったんだから大丈夫っしょ…』


そんなこんなで、
2人が来て一週間目の深夜…

『……あーっ!!!』
「うおっ!?? どーした!?」
「急に叫ぶなよ! 鼓膜破れるだろーが!!」
『写真、焼き増ししたのに渡すの忘れたー!!』
「…焼き増しの意味ねぇじゃねぇか。」
「…やっぱ姉貴って馬鹿だよな…」

奴良組に再びいつも通りの日常が帰ってきたのだった。





(『……狭間妖怪に届けてもらおうかな』)
(「宅急便代わりに使ってやんなよ…」)




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