この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 1-3)写真

「お世話になってるんだから、これくらい手伝うわよ」
『サンキュー』
「ご飯は? 何人分つげばいいの?」
『あ、ご飯はねぇ…炊飯器ごと居間の方に持ってって! そしたら皆お茶碗持ってくるから!』

ミサノちゃんとアサカさんがだいぶ奴良組生活に慣れた頃…2人共食事の用意やら洗濯、掃除などを「お世話になってるから」「暇だから」と積極的に手伝ってくれた。
マジありがたい、助かる。だからお礼に私は思ったのだー

『学校へ行こう!!』





ところ変わり学校…
昼休み直前の授業である4限目なぅ。

「浮世絵中ねぇ…制服が可愛いわね。欲しいわ。」
「鯉菜ちゃんもここで勉強してたんだね!」

浮世絵中の制服に身を包んだ私とミサノちゃんとアサカさん。授業が行われているため校内はとても静かだが…いつも通りの音量で話す。
というのも、
「明鏡止水って凄いね! 本当に私達今見えてないの?」
「なんだか不思議な感じだわ」
私が明鏡止水を使っているからだ。
明鏡止水で私達の姿を見えないようにし、そのままとある教室に向かう。
ふむふむ、どうやら英語の授業のようだ。

「…あれ、あそこの席にいるの…」
『昼リクオです。
眠そうなので…起こしてさしあげましょう。』
「その割にはアンタ悪どい顔してるわよ」
アサカさんの言葉を聞こえないフリして…リクオの後ろに立つ。
そして…


『フン…転生した妾からしてみれば、このような問題など余興に過ぎぬ…(裏声)』

「はっ…羽衣狐ーッッ!!??」

ガターン…!!
と突如席を倒しながら立つリクオに、クラス皆が驚きの視線を向ける。そして「姉ちゃん!?それにミサノさんもアサカさんも…何でいるのー!?」というリクオの叫びに、肩を震わせながら先生の方を指差す私。
もう一度言うが…私達は明鏡止水を使っているのだ。よってー

「ぬ、奴良くん…? どうしたの?」
「…奴良…お前大丈夫かー?」
「良い奴だけど、時々変な奴になるよな!」
「寝惚けてたんだろ〜」

先生やクラスの皆に「何言ってんだ」と心配される羽目になったリクオ。いやぁ、便利な能力です!

「鯉菜ちゃん…」
「…アナタ…弟なのに容赦ないわね」
『何を言うか…これが私の愛情表現よ!
あっ、リクオ。ここの答え間違ってるぞう☆』
「ちょ…分かったから!あっち行って!(コソッ)」

そんなこんなで昼休みはリクオ達とお昼ご飯を同席し、屋上で賑やかな時を過ごす。
…あぁ…先生もここにいたらもっと賑やかだったろうなぁ…
湧き上がるそんな感情に蓋をして、ロシアンルーレット弁当を開く。中身は10個のミニおにぎり…リクオや氷麗に青、清十字団にミサノちゃん達の分だ。普通のおにぎりは8個で、ハズレは2個。
そんなドキドキハラハラなミニおにぎりを皆で一斉に食べてもらう。
そして…

「$\*@*&#”(@&#\Σー!!!!??」
「Σ…*””($_♪♭Σ♯\☆ー!!!」
『記念に一枚、はいチーズ。』

パシャッ!

ハズレの2人を皆で囲み、写真を撮る。
一週間たったら2人は帰ってしまう…
それなら、会えなくなる前にせめて1枚だけでも写真に思い出を残そうではないか。




(『(先生とも写真、撮っとけばよかった…)』)
(「…清継君と島くんのは一体何を入れたの?」)
(「…私はワサビを入れたわ」)
(「私はからしを入れちゃった…えへへ」)
(『グッジョブ』)
(「…姉ちゃんが入れたのかと思ってた…」)
(『私は2人に調味料を渡しただけよ☆』)
(「……てことは元凶は姉ちゃんじゃん!」)




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