この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ どんなインドア派だよ。

はいはーい、今リクオと鴉天狗と一緒に鴆の家に向かっておりマース。何気に乗り心地がよい。


「ねぇ、姉ちゃんはどう思う?」

『あー…そうねぇ…』


今なんの話をしてるかって?


「病弱な鴆くんを呼ぶなんて…ひどいよね!?
なのにじいちゃんは…!」


まぁ、先程のやり取りについてリクオは怒ってるんですね。はい。そして私に意見を求めてるなうだ。


『まぁ、リクオの気持ちも分からなくもないよ?でもさ、それって何か…哀れんでる気がする。』

「…どうゆうこと?」

『だから、体の弱いのって、それは鴆という妖怪故にでしょ?おじいちゃんやお父さんは鴆を守りつつも、ちゃんと頼ってて…。
うーん、難しいな…。
取り敢えず、お父さん達は鴆を1人の頼りになる仲間として見てるのに対して、リクオはかわいそうって上から見てる気がしたんだよね。無意識のうちに。』

「…そんなことっ……」

『おじいちゃんが怒ってる理由、私もハッキリとは分からない。でも私はリクオの言葉にそう違和感を感じたの、ごめんね。』

「………。」

「…もう着きますよ、お二人とも。」

「う、うん。」


私の率直な意見によって、リクオは押し黙り、朧車は静まり返る。そんな沈黙に耐えてか…声を掛けてくる烏天狗。
だがー
 

『…なにか…焦臭い。』

「鴆様の屋敷が家事ですぞー!どうします!?」

「そのまま…そのまま突っ込んでぇええ!」


焼け焦げた臭いがしたかと思えば、鴆の屋敷が焼けていると言うではないか。
どうするのかと言う烏天狗に、リクオの返答。
そしてリクオの言う通りに突っ込む朧車だが…
揺れが凄くて吐きそうです!


「鴆くん!?」

『しっかりして!鴆!!』


着地した朧車から出れば、刀を支えにして体を起こしている鴆を見つける。普段も調子悪そうだが、今は絶不調のようで顔色が物凄く悪い。


「り、リクオ?
それに、鯉菜も…どーしてお前らがここに?」

「んだァてめぇら!
…!?こいつら、あの奴良組の馬鹿息子と馬鹿娘!?」


誰が馬鹿だコノヤロー、いや私は馬鹿だけれども。
私達を馬鹿だと言うやつは蛇太夫…鴆の側近みたいな奴だった筈だ。


「くく…丁度いい。このうつけ共の反対派は幹部にも多いと聞く…ぬらりひょんの孫殺してオレのハクがつくってもんだ!!」


鴆を裏切ったという事実に怒りを覚えたのだろう…
私の隣からドスの効いたリクオの声が聞こえる。


「許せねぇ」

「ど…どけ!?リクオ!!」

『鴆、大丈夫だから見てて。』

「二人とも、下がってろ。」


そう言ったリクオは刀を取り出し、蛇太夫を真っ二つに切った。その姿はいつもの昼の姿ではなく、夜の妖怪の姿だ。
かっこいい…成長してる!
かっこいいぞ、リクオぅ!!


「なんじゃあコイツァー!?退けー!」


そんなリクオに勝ち目がないと悟ったのか、一気に散る蛇太夫の部下達。
…逃がすかよ。
鴉天狗や鴆の目がリクオに釘付けになっている間に、こっそりと気配を消す私。人間姿でも明鏡止水を使えないこともない。完璧ではないだけであって…一応は使えるのだ。


「くそっ!くそー!」

「何なんだアイツァ!本当にあの馬鹿息子か!?」

「覚醒できねぇんじゃなかったのか!?」

『待ちなよ。』

「な!てめぇは姉の方の…!」


逃げた残党を先回りし、番傘の尖端を相手に向ける。


『私、残党も徹底的に消したいタイプなんだよね。アンタみたいなのが後々復讐しに来るの…迷惑だし。だからさ、消えてくれる?』

「なめてんじゃねえーー!!」

「てめぇが死ねや!」

「人間ごときに殺られるかー!」


番傘を構え、刃を抜く。血が熱くなり、体が少し重くなる。目線がいつもより高い。
…あぁ、どうやら私も覚醒したようだ。


『……あり?』


残党を一匹たりとも逃さないように全て斬り殺す。そこで違和感を感じた。確かに今の私は夜の姿だ。そこまでは可笑しくない。
だが、意識は『私』のままなのだ。


『(おーい?)』


リクオと同じで、夜には夜の私が出るのかと思ってたのに…可笑しいな。


ー…何?ー

『あれ。何だ。やっぱり…いるじゃん。何で変わってないの?』

ー…メンドイ。ー

『メンドイって…えー…』

ー夜になる必要がある時は、体貸すー

『…だから、私が表に出とけ、と?』

ーそう、問題ない。ー

『出たくないの?ずっと内にいるの、辛くない?』

ー楽よ。私、インドア派だから。ー


いや、インドア派にしてもそれはキツいだろおおおお!!!


『んー…本当に平気?
外に、表に出たい時はちゃんと言ってね?
いつでも変わるからさ。』

ー…ありがとう。ー


そう言って、夜の私は内深くに帰ってしまった。
…何か、変な感じ。リクオもこんな感じで夜と昼が会話するようになるのかな。
それとも私が特殊なのか…。うーむ。


「お嬢ーーー!?何処ですかー!?」

『あっ…忘れてた。早く戻んないと。』


変化を解き、いつもの姿に戻る。
うん。これが1番いいな、慣れてるし。
番傘を手にし、鴉天狗の方に向かう。残念ながら、リクオと鴆の盃を交わすシーンは終わってしまったようだ。見たかったのに!!



(「どこに行ってたんだ?」)
(『隠れて鴆を狙うものが居ないか、チェックしてたの』)
(「へぇ…?」)




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