▽ だが断る!
『…リクオだ。』
社会の授業なぅ。ぶっちゃけ超だりぃ。何が悲しくてもう一回小学生やんなくちゃいけないんだ。
『あいつ走るの速いな。』
窓際の席な為、グラウンドで体育の授業を受けているリクオがよく見える。
『(可愛いなぁ…。
そういえば今日は一緒に帰れない日だ。)』
行きはリクオと一緒に学校に行くが、帰りはバラバラだ。学年が上がれば上がるほど、授業のコマが増える。だから、帰る時間が被る時と被らない時があるのだ。今日は私の授業がいつもより多くある日…ダルイ。
早く授業終わることを祈り、私は机へ突っぷす。寝の体勢にinだ。1日のほとんどの授業をいつもこんな感じで過ごすが、テストはほぼ満点近くなので問題なし!(ドヤ
なんやかんやで学校が終わり、
家に帰ればリクオが縁側で石を投げていた。つーかその真似をしてる後ろの小妖怪が激かわ!
「お帰りなさいませ、お嬢。」
『ただいまー。
…リクオ、どうかしたの?』
「うん ちょっとね」
リクオが元気ないなんて珍しいな…朝はあんなに元気だったのに。どうしたんだろう。そしてそんなリクオを少しでも励ますように、首無が話題を変えて雰囲気を変えようとする。
「今日は親分衆の寄合があるんですから元気出して。総大将が呼んでますよ、お二方。」
「おじいちゃんが?」
『あぁ、だからこんな賑やかなんだ。』
納得。
でも何の用なんだろうか。めんどくさいからサボっちゃおうかな…なんてね。
元気ないリクオに戸惑いつつも、時間はあっという間に去って夜になる。
そして…私はお父さんに首根っこを掴まれて引き摺られているなう。
実を言うと、つい!総会をサボってしまったんだ。お父さんもしょっちゅうサボってるし大丈夫だろうなんて思ってたら…まさかのお父さんが迎えに来たよ。びっくり。
戸を開けて入れば、わいわいと騒いでいるのが聞こえた。
「うむ…そろそろ…三代目を決めねばなと思ってなぁ」
ニヤッと笑うじいちゃんの台詞で、今更ながら気付いた。これ、原作始まってね?三代目を決めるって…これガゴゼ編じゃね?だからリクオも凹んでたんだ。あー…気付かなかった。不覚!
「おお…それはよいですなぁ。二代目が大怪我してもう数年…いつまでも隠居された初代が代理では、お辛いでしょう。」
そう、お父さんは大怪我をして2代目を降りた。
理由は左肩があまり動かせなくなったからだ。まぁ、もしかすると他にも理由があるのかもしれないけど、知らん。
「総大将!
悪事ではガゴゼ殿の右に出る者はおりますまい!」
「なんせ今年に起こった子供の神隠しは…全てガゴゼ会の所業ですからな!」
「なるほどのぅ。
相変わらず現役バリバリじゃのうガゴゼ…。だが、お前じゃあダメじゃ。三代目の件、このワシの孫 リクオをすえようと思っていな」
その言葉にザワザワしだす部屋。
お父さんを見れば、反対する気色はない。まぁ…あれだけ三代目になる!って毎日リクオは言ってるからね。でもー
「い…いやだ!!こ、こんな奴らと一緒になんかいたら、人間にもっと嫌われちゃうよー!!」
やっぱり…。原作通りのリクオの反応に、おじいちゃんもお父さんもビックリしている。当たり前だ。朝までは継ぐ気満々だったもんね。
「おじいちゃんになんか全然似てないよー!」
そう言い残し…勢い良く出ていったリクオから私に視線を移すおじいちゃん。
え、何? 何でこっち見てんの?
「鯉菜、お前に三代目の…」
『だが断る!』
「なにーーー!?何故じゃ!!
リクオといいお前といい!!」
『何故って…私には向かないっしょ。』
そう返せばギャーギャー喚くおじいちゃん。
うるさいなぁ…私も出ようかな。
そんな事を考えていれば、今まで黙っていた木魚達磨が訝しげに口を開く。
「総大将、鯉伴様。失礼ながらリクオ様と鯉菜様は…本当に血の繋がりがおありか?姿形はもとより考え方もまるで人間ですなぁ…」
これも原作通り。
…原作通りなのだが、気に食わない。何故か怒りがふつふつと湧いて来る。
そして、気が付けば私の口は既に開いていた。
『まるで…人間の存在を否定しているかのように聞こえるねぇ。…人間も妖怪も大して変わんないのに。』
「変わらない…?
何を仰るのですか。人間は弱い生き物です。それに比べて我々妖怪は…」
『変わんねぇよ。
確かに妖怪は強いさ…力も強いし、技も使える。
だが、人間も劣ってない。誰が世界をここまで発展させた?一気に何十万もの生き物を殺す武器を作ったのは誰だ?人間だろ。それにお前らだって陰陽師を恐れるじゃないか。妖怪が人を簡単に殺せるのと同じように、人間だって妖怪を簡単に殺せる力を持ってる。
…結局は弱肉強食の世界なんだよ。』
あー…何か無駄に長くなっちゃった。リクオの所に早く駆けつけたいのに!
『それと、木魚達磨…そういう失礼な発言は控えるべきよ。沸点の低いガキがここにいるから、気を付けないと。手遅れにはなりたくないでしょ?』
ニッコリと…でも目は笑わずに言う。
木魚達磨の言葉は、まるでお母さんの不手際を暗示しているみたいだった。誰だって家族が疑われたりしたら腹が立つだろう、うん。
このくらいなら…しても許されるよね。
じゃあ私リクオの所に行くね、と言い残し部屋を去った。行き先はリクオのもとだ。お姉ちゃんの株を上げに行くぜ!
(「親父…今の…」)
(「あいつ、殺気を出しよった…」)
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