この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ 打倒、サトリ&鬼一口

「よぉく聞け、京の魑魅魍魎ども」


弐條城に入って警戒体制に入る京妖怪に、リクオは言う…


「奴良組とてめぇらの大将とは四百年分の因縁てぇやつが、ごっそりついちまってるみえてぇだが…この際キレイさっぱりと、ケジメをつけさせてもらいに来た!
邪魔する奴ぁ遠慮なくたたっ斬って三途の川ぁ見せてやるから…
覚悟ねぇ奴ぁすっこんでろ!!」


啖呵を着るリクオに、秀元は口笛をふく。


「ヒュウ♪ カックイイ!
ゆらちゃん、一応もらってるで、畏の羽織」

「いるか!!」

『着ようよ、お揃いだよ〜』

「何で妖怪とお揃いのモン着らなあかんねん!」

「おーい、あぶねぇぞ嬢ちゃん」

「っ!!」


遠くから弓で攻撃してくるのを護符で防ぐゆら。一方、リクオの行く手を邪魔するのはサトリと鬼一口。四百年前、珱姫のお父さんを殺した奴らだ。


「みえるみえる、先が見えるぞ。
気をつけろよ…鬼一口。彼奴より〈一刀両断の意志〉を確認! はやてのごとく…来よるぞ!!」

「いつでもどうぞ〜」


サトリの言葉に、鬼一口は防御体勢を取り、リクオの攻撃を弾く。


「フフフ…見える…見えるぞ〜…」

『じゃあ見えるアンタを先に殺せばいいだけの話ね。』

「おっと!…何じゃ、孫はもう一人おったか。」

「姉貴…!」


サトリに向かって刀を振り下ろすが、やはり読まれているのだろう…いとも簡単に躱される。


「…ふむふむ…〈ゆらの体力温存の為にも私が代わりに殺ろう〉…ふむ…ゆらとは破軍をつかう陰陽師か…。
むっ!!
そっちは〈鏡花水月〉をやるつもりじゃぞ…あれは幻で…ぬおっ!??」

『大変ねぇ…鬼一口の為にも、自分の身の為にも見なくちゃいけないなんて。』

「くそっ…邪魔なやつめ!!
むっ…鬼一口、橋桁じゃ!!」


またもやサトリの言葉で、リクオの攻撃は躱される。


「ひきょうは〜いかんなぁ〜」


ぬらりくらりとするリクオに対してそう言う鬼一口だが、サトリは妖の技だから卑怯ではないという。


「まぁ、こやつらの曾祖父は欲深で卑怯な男じゃったがの…」

「何…?」

『(それは否定出来ない…)』

「珱姫…あれは美しい女だったなぁ。お前にもかすかに面影はあるようじゃ。むしろ姉の方が珱姫に似とるなぁ…。
ん? お前は何をきょとんとしておる?
お前の祖母のことじゃよ。」


リクオ…お前はお婆ちゃんの名前も知らんのか!
って一瞬思ったけど、前世の私もぶっちゃけ祖父母の名を覚えてなかったから…良しとしよう!!


「思えばワシらは…四百年前から美しい姫を何人も羽衣狐様に捧げてきた。それがついに実を結ぶ時がやって…きたのだ…」

「…そーやって、ずっと罪もねぇ人間を殺め続けてんのか…?」

「だから何だ?」

「…あきれた奴等だっつってんだよ…
姉貴! そいつを…任していいか?」

『当たり前よ。
元々こいつを狩るつもりで来たんだから!』


ニコッとして言いながら、鉄扇を構える。こちらの都合上、早くコイツには消えてもらいたいのだ。


「ふぅむ…さっきからずっと不思議でたまらんなぁ…。女、お主も…先が見えるのか…?」


ほーら…こいつは考えてることを見透かすだけじゃない。相手の中まで見てくるから、だから早く消さなければならないんだ。


『意味不明。何のことかしら?
取り敢えず、大人しく土に還りな…
明鏡止水〈花ふぶき〉』

「…ふむ、〈新技上手くいくかな〉〈練習台になって貰おう〉……え?」


左手で何枚もの桜の花弁を散らせ、それを右手に持った鉄扇で舞わせる。


「…む!? 〈花びらが…〉!? むむむ!!?」


私の考えが読めたのだろうか…慌てて桜の花びらから逃げるサトリ。だが、桜の花びらみたいに、小さくて軽いものから逃げるのは難しいだろう。ちょっとした風圧で風に乗って、何枚もの花びらがサトリを追い掛けるように舞う。
そして…


「ひっ…!ガッ!?…ぐ…ぎゃああああ!!!」


花びらに覆い包まれて、悲鳴をあげるサトリ。
次の瞬間、サトリが文字通り〈爆発〉する。


『痛いでしょうね…当たれば花びら1枚1枚が爆発するんだもの。でも、あなた達がしてきたことを考えれば、このくらいの痛みなんか可愛いもんでしょ。』


うーん…この技の恐ろしい所はドガーンと爆発するんじゃなくて、ドドドドド…と1枚1枚が次々に爆発する点だね。おかげで原型をとどめないくらいにグチャグチャに色んな物が現在進行形で飛び散っております、ハイ。
デメリットは…味方と敵が混ざっているような場所では使えないって所かな。味方に当たったら大変だもの。


「…へぇー、綺麗だが、恐ろしい花吹雪だなぁ。
んで? サトリはもういねぇぞ。覚悟はできてるな…?」

「ま…待ってぐ…!…ハヒャ…」


おお…! リクオの方を見れば、ちょうど変な声を出して鬼一口が真っ二つになったところだった。


「さっきの技…姉貴のだよな?」

『そーだけど?
それにしても…先が見えても躱すことができなきゃ意味が無いわね。』

「確かに…。」


なるほどと頷くリクオに、変な所でこいつは鈍いなぁと内心思う。口には出しませんよ? 叩かれますんで。


「奴良くん! 先輩!!」


貪狼に乗ったゆらに続き、奴良組の妖怪もゾロゾロとやって来る。


『ゆら、リクオ、2人は羽衣狐と戦うんだからできるだけ体力温存しといた方がいいよ?』

「せやなー、鯉菜ちゃんの言う通りや。下っ端とか邪魔する奴はできるだけ他の者にやらせりーよ?」


だがここで、はいと返事する程2人が物わかり良い筈がなく…


「こんくらいでへばってちゃ羽衣狐にゃ勝てねーだろ」

「ウチは陰陽師なんや!! 逃げるわけにはアカンねん!!!」


理由は違えど、答えは同じな返答が来る。
うん…何となくこうなる事は分かってたよ、サトリじゃないけど。
辺りの京妖怪を倒し、再び集まった百鬼夜行を背にリクオは突き進む。


「よっしゃ行くぜ!
目指すは羽衣狐が待つ鵺ヶ池だ!!」





(「鯉菜はよく新技を考えるなぁ」)
(『年中無休で中二病ですからね』)
(「…左目が疼いたりすんのか?」)
(『いや、今は子宮が疼いてます』)
(「…生理か」)
(『違いますぅ〜月経前症候群ですぅ〜』)
(「………パシン!」)
(「いたっ!?」)




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