この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ お邪魔しまーす

『やっとついたー!!』

「でかっ!! 花開院の家でっか!! 何あの子! TKGの令嬢だったの!?」

「弐條城に結構近いな…」


地図を見ながらなんとか花開院家に着く。はぁ…道のりが長かった! 何度道を間違えたことか。


「黄昏時の前に着いてよかったなぁ…」

「? 黄昏になると家に入れてくれないんですか?」

『黄昏は妖怪が活動し出す時間帯です。夜も危ないけど、黄昏も危ないんですよ。』


へぇー妖怪は夜行性なんだなぁと笑ってるこの先生は…もしかすると清継以上の霊感ゼロかもしれない。もはや霊感-50くらいいってるんじゃね?


「あそこの門番に声掛ければ入れるんかな…」

『そうですね。
先生とお父さんはここで待ってて、私あの人に話しつけてくるから。』


2人がそこに残っているのを確認し、門番の所へ駆け寄る。


『すいません…花開院家の方ですか?』

「はい、そうですけど…」

『あのー、こちらに清十字団っていう、ゆらちゃんの友達が来てるって伺ったんですが…』

「あぁ、はい、来てますけど…どちら様ですか?」

『私も清十字団の1員でゆらちゃんの友達です。後ろにいるのは清十字団の部活顧問の先生です。
一緒に京都をまわってたんですけど…はぐれちゃって…』

「あぁ! 成程! じゃあ中にご案内しますね」


よっしゃあ!!
心ん中でガッツポーズをし、後ろの方にいる2人を手招きする。


「おっ、俺も入っていいって?」

『はい、清十字団の部活顧問って言ったら普通にOK貰えましたよ。』

「オレは数学部の顧問だけどね?」

『どーでもいいです。入れれば万事OK。』


そのまま花開院の者に案内され、ある部屋に通される。うっわ、何この豪華な部屋。


「あれ!? 奴良姉じゃないかね! 遅いぞまったく!!」


ゾロゾロと入ってきた私達に、清継が最初に反応する。相変わらず偉そうなやつだ。


「あっれー? 何で坂本先生がいんのー?」

「もしかして…2人で新婚旅行ですか〜?」

『巻と鳥居も相変わらずだね、そのキャラ好きだよ。でも坂本は途中で拾っただけだから。変に深読みしないでね。』

「あれ…オレ今呼び捨てされなかった?」


ゲラゲラとからかわれて笑われるこの先生は、生徒からの信頼が厚くて良い先生だと思う。
本人には決して言わないけど。
ざわざわとザワつき出した部屋に、寝ていた倉田が起き上がる。
そして…


「…お嬢!? 二代…ぶふっ!!」

『あ、倉田くん、お疲れ〜!
二代目って言うなアホウ!(ボソッ)』

「へ、へい…すいやせん。」

「お疲れ様だねぇ…倉田くん。」


近くにあるクッションを倉田にスパーク!!
お嬢も少し問題があるのに…二代目はなおさら危ねぇだろ!!


「あれ…奴良くんのお父さん?」

「おー、カナちゃん久しぶりだねぇ。また一段と可愛くなったんじゃねぇか?」

「「……えーーー!?? 奴良のお父さん!??」」


カナちゃんの言葉に、先生をからかっていた巻と鳥居が絶叫する。
そっか…カナちゃんとゆら、清継、島はウチんちに来た時に会ってるから知ってるけど、巻と鳥居はお父さんと面識ないのか。


「おっ、清十字団は可愛い女の子がいっぱいだねぇ! お邪魔するぜ。」


そう言ってウィンクするお父さんに、巻コンビは黄色い悲鳴をあげる。


『お父さんは女の子に一々色気出さなくていいから。』

「なんでぃ、嫉妬かい?」

『…ゆらに頼んで滅してもらおうかな。』

「そりゃ勘弁だぜ…。」

「オレには何でキャーキャー言わねぇんだよお前ら。
オレだってイケメンの部類だろ?」

『自分で言う所がまず残念ですね。』

「いたいでーす!」

「さむいでーす!」


私と巻達の連携プレーに膝を付く先生…少し可哀想だが、まぁいいや。そんな感じで、清十字団と先生がワイワイやっている隙に、青田坊の元へお父さんと一緒に向かう。


「お嬢…二代目、今どうゆう状況なんですか」

『リクオ達が京都に着いたところね。
らせんの封印? っての?
それを皆で巡回してるところよ。まぁ、私達は先生と偶然会っちゃったからさ、先生を安全な所に避難させようと思って来たんだけどね。』


そう言えば、「氷麗に会ったんですねぃ」とウンウン頷く青。…あれ…?


「いや、氷麗ちゃんには会ってねぇぜ?」

「え? じゃあどーやってココにリクオ様の御学友がいる事を知ったんで?」

「…そういやぁ…何でお前さん知ってたんだ?」


…しまった。迂闊だった。
私は清十字団がここにいる事を原作で知っていたけど、皆知らないんだ! これって氷麗に会って初めて分かることだったのか…!! 「今、電波も何故か繋がらねぇんすけど…」という青田坊の言葉に、咄嗟に思いついた言い訳も一気に崩れさる。
やばい、これはもう強行突破しかない。


『…あー、うん、私も知らなかったよ?』

「「は?」」

『知らなかったけど、ワカメのことだからきっとゆらちゃんの家に行ってんのかなーって…思って…?
だってホラ!
ゆらだって清十字団の一員だからさ…ゆらを迎えに行くついでに陰陽師の屋敷を見て回るんじゃないかなーって思ったのよ!』

「なるほどな…じゃあ花開院家が清十字団を保護してるって言ってたのも、テキトーかい?」

『そーだよ! まさか当たってるなんて思わなかったよ〜アハハハハ! まぁワカメの考えは単純でわかり易いけどね!
ってか氷麗は? 氷麗も青と一緒に清十字団を見守ってんのかと思ってたけど…』

「あいつはリクオ様に会いに行くって言って出ていきましたよ。あの陰陽師の娘と一緒に。」

『え、ゆらもここにいないのー?』

「…青と清十字団がここにいてよかったな。」

「暇で仕方ありませんよぉ…」


…よかったぁぁぁああ!!!!
なんとか乗り切れた! 何かまだ疑われてるような気がせんでもないけど、でもこれからココも戦いの場になって忙しくなるし…こんなミスすぐに忘れるだろう。


『…てか忘れてくれないと困る!』

「お嬢!?」

「急にどおしたんだ。いつものことだが。」




(「鯉菜先輩のお父さん、若くないっすか」)
(「超イケメンー若ーい!」)
(「ハハっ、可愛いお嬢さんにそんなこと言われると照れるねぇ」)
(「…………(´・ω・)」)
(『頑張ってください、坂本先生。』)




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