My bogus gentleman ! | ナノ
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愛妻弁当なんて夢のまた夢

あっくんのいとこでありお守りである私には、あっくんの食生活の管理という重要な仕事がある。

「はいあっくん、お弁当」
「わー、ありがとなぎさちーん」

ちなみに作っているのは私ではなくお母さんである。お母さんは昔から甥っ子であるあっくんがかわいくてかわいくて仕方がないらしく、冷凍食品だらけな私のお弁当とは違いあっくんのお弁当の中身はすべて手作りだ。何このいじめ。あまりにも酷いので卵焼きだけは自分で作ったものを詰めてもらっているが、これが3年間続くようであれば他に対応を考えなければならない。

「…あれ、今日の卵焼きちょっと歪な形してるね」
「あー、うん。それたぶん私が作ったヤツ」
「それに何だかいつもより甘い気がするし…」
「ちょっと砂糖入れすぎたんだよねー。でもあっくんは卵焼き砂糖派だから大丈夫でしょ?
「うーん、オレは出汁派かな」
「そうなの?じゃあお母さんに頼んで明日から出汁に…え?」

私 今 誰 と 話 し て る … ?ばっと隣を見ると、そこには一心不乱にお弁当をかきこむあっくんの他に氷室先輩の姿があった。

「歪な形だったし甘かったけどおいしかったよ」
「一言多いです。ていうかあっくん氷室先輩に何あげてるの…!」
「えー?卵焼きー?」
「そういう意味じゃなくて!」
「お菓子あげるから卵焼きちょうだいって言ったらくれたけど」

あっくん…!この子こんな調子じゃいつか誘拐されるんじゃないかな…!!

「ふふ、今度オレにも作って来てよ」
「嫌です。ていうか作ってるの私じゃなくてお母さんなんで」
「ひどいなあ、アツシはよくてオレはダメなわけ?」
「あのー?もしもーし?」
「ああもしかして、義息子になったらキミのお母さんはオレの分まで作ってくれるのかな」
「話聞けよ」

この人ホント人の話聞かないなあ。息を吐いて冷凍食品だらけのお弁当にお箸を突き刺した。

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