My bogus gentleman ! | ナノ
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ちゃんとBあるからね!?

思わず頬がひくりとひきつる。そんな私などお構い無しに監督は、私に帰国子女のお守りを押し付けてくださった。

「氷室は入部仕立てで分からないことも多いだろうから紺野に世話係を頼みたい。やってくれるか」

監督の後ろで爽やかな笑顔を浮かべているのは、先程私をからかって大笑いしていた失礼極まりない例の男だった。

「ええと…。監督、この人が例の帰国子女…ですか?」
「そうだ。さっきコイツの自己紹介聞いてただろう」
「ああ…はい。あっくんが、というより皆さんが大きすぎるせいで後ろにいた私には顔までは見えませんでしたけど」

なんてことだ。ただでさえあっくんのお守りというマネージャー業務より大変な仕事があるというのに、そのうえこの最悪最低な男の面倒まで見なければいけないのか。
しかし嫌です、なんて言えないのがチキンな私。とりあえず精一杯の笑顔で自己紹介をした。

「初めまして氷室先輩、マネージャーの紺野なぎさです。どうぞよろしくお願いします」
「氷室辰也です。よろしくね」

氷室先輩は爽やかな笑顔を浮かべたまま私に手を差し出した。あれ、意外と好感持てるかも…。私も笑顔で彼の手を握った。さっきのふざけた行為は許してやることにする。

世話係の最初の仕事は、何も知らない氷室先輩に体育館や部室、シャワールームなどの使い方を説明することだった。それじゃあまずは。口を開く私の隣で氷室先輩は、小さいな、と呟いた。
…小さい?その言葉が理解できなくて氷室先輩を見上げる。私と目が合った先輩はにこりと笑って視線を下にずらした。
え、私が小さいってこと?そりゃ、私氷室先輩より小さいですけど。あっくんにもよくなぎさちんちっさいねーとか言われますけど。でもクラスの女子の中では比較的大きな方で、言うほど小さくは…。
そこまで考えてはっとした。こ の 人 今 ど こ 見 て る … ?

「B…いや、まだAか」
「黙れ変態」

持っていたクリップボードで氷室先輩の顔面を思い切り叩いた。

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