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■ 予定調和の鐘の音

「ああああ赤司っちぃぃぃぃ!!」

ノックもせずに勢いに任せて赤司っちの部屋に駆け込むと、黒子っちと話していた赤司っちに迷惑そうな視線を向けられた。ごめんなさい赤司っち、でも今それどころじゃないんス。

「かえでっちが、赤司っちと一緒に食事したいって!」
「…涼太、今日はエイプリルフールじゃないよ。僕をからかって楽しいか?」
「本当なんスよ赤司っちー!」
「かえでが僕の顔を見ながら食事をしたがるわけないだろう。せっかくの食事が不味くなる」
「赤司っちネガティブすぎ!何で信じてくれないんスか!?」

何と言おうが赤司っちはオレの言うことを信じてはくれないらしい。困った。非常に困った。

『…一緒に食事をしてもいいか、赤司さんに聞いてきてくれませんか?』

一体どういう心境の変化なのかは定かではないが、かえでっちは確かにそう言ったのだ。今も部屋で一人赤司っちからの返答を待っているであろうかえでっちのことを思うと早く色好い返事を持って帰りたいところなのだが。

「もういいっス!赤司っちはかえでっちと一緒に食事をしたくないって言ってたよって言っちゃうんスから!!」
「待て、誰もそんなことは言っていないだろう」
「だってそうじゃないっスかー!」

赤司っちのバカー!なんて叫びながら部屋を出ていこうとしたオレは、ちょうど部屋に入ろうとしていた紫原っちが開けた扉によって吹き飛ばされてしまった。

「む…紫原っち…。扉開けるときは気をつけてってあれだけ言ったのに…」
「ごめん黄瀬ちーん、でも今それどころじゃないからさー」

床に蹲るオレに興味無さげな視線をちらりと向けた紫原っちは、お玉を片手に首を傾げた。

「かえでちんが赤ちんと一緒にご飯食べたいんだってー。今日は赤飯にした方がいーい?」
「…は?」
「ほらー、オレが言った通りじゃないっスか!!」

どうやら赤司っちは状況を飲み込めていないらしく、珍しくすっとぼけた顔をしている。それから助けを求めるように黒子っちに視線を向けた。

「テツヤ…テツヤ、僕はどうしたらいいんだ」
「とりあえずこれは一世一代の大チャンスですよ赤司くん、ここでいいところを見せてかえでさんの心を掴まないと」
「ああ、」

こんなに緊張している赤司っちを見る日が来るだなんて誰が想像できただろうか。
とりあえず思わずニヤニヤしてしまったオレに赤司っちが鋏を投げつけたのは照れ隠しだと信じたい。

title/サンタナインの街角で


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