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「#エロ」のBL小説を読む
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二宮さんと咲菜ちゃんが付き合い始めたらしい。本人たちの口から直接聞いたわけではなく、太刀川さんの「あの二人やっと付き合い始めたんだってな」という発言から付き合っているという事実を知らされたのだ。何それ聞いてない。というのが正直な感想である。二宮さんと咲菜ちゃんのことでオレたちがどれだけ気を揉んだと思っているのだろう。

「オレたちには報告の義務があると思うんですけど」

そう言ってじとーっとした視線を二宮さんに向けた。二宮さんは居心地が悪そうに視線を逸らしたけど、しばらくすると観念したように口を開いて立ち上がる。

「咲菜と付き合ってる。…これで満足か」

そう言うや否や、二宮さんは「少し外に出てくる」とあっという間に作戦室から出て行ってしまった。
そんな言い逃げされて、オレたちが満足するはずがない。





ユートピアに制裁を





「ね、二宮さんと付き合ってるってマジ?」

犬飼がにっこり笑って首を傾げた。どうしてそれを、と思わないでもなかったけど、遅かれ早かれバレる話だ。問題なのは犬飼の一言を聞いて勢いよくこちらを振り返ったカゲとユズルである。

「あ?マジかよありえねー」
「咲菜さん趣味わっっる」

カゲもユズルもこれでもかと言うほど顔を歪めて、吐き捨てるようにそう言った。想像通りのリアクションに最早言い返す言葉もない。

「こらこら二人とも、おめでとうくらい言ってあげようよ」
「うっせー。つーか何でおめーがうちの作戦室にいるんだよ」
「ゾエが入れてくれたんですー。文句ならゾエに言ってくださーい」
「ちょっとゾエさん、何でこの人入れたの」
「こいつが来ても追い返せって言ってるだろ。ふざけんな」
「ええ、ゾエさんのせいなの?」

ゾエがめそめそと泣き真似をしながらそうぼやく。ゾエが招き入れたと言うか、押しかけて来た犬飼が強引に入ってきたと言うか…。ここで口を挟むとカゲたちのイライラの矛先が私に向けられるし、ゾエには申し訳ないけど黙っておこう。

「気にすんなゾエ。こいつら咲菜に彼氏ができて寂しいだけだから」
「そうそう。しかもよりによって相手が二宮さんだったことに腹が立ってるだけだから」
「そんなわけないじゃん。脳みそ腐ってんの?」
「腐ってるどころか詰まってねーだろ」

仏頂面なカゲとユズルの暴言を受けても、犬飼もヒカリちゃんも、さっきまで泣き真似をしていたゾエも、ケラケラと笑っている。ムキになる二人が可笑しくて私も一緒になって笑っていると、カゲから「おめー当事者なの忘れてねーか?」と睨まれた。

「マジで頭沸いてんだろ。趣味悪すぎて引くわ」
「趣味悪いって…二宮さん普通に優しいよね?」
「うちの隊長が優しいのは咲菜ちゃんに対してだけだからなあ。それに関してはノーコメントで」
「ほら見ろ。チームメイトがこれだぞ」
「考え直した方がいいよ咲菜さん。騙されてるよ」

想像通りと言うか、想像以上の反応を見せる二人が最早過保護なお父さんと弟にしか見えない。あまり笑いすぎると怒られそうだと思って一生懸命堪えていると、犬飼が横から「まあ正直なところ、もっといい人はいっぱいいるよね」と口を挟んだ。

「言ったな?おめーんとこの隊長に言いつけてやるわ」
「さっきまで散々悪口言っといて何でそうなるかな?」

カゲの八つ当たりが飛んできた犬飼は肩を竦めると、これ以上被害を被る前にと作戦室から出て行った。何しに来たんだあいつ、とヒカリちゃんが呟いていたけどまさにその通りだと思う。

「なーに自分は関係ないです、みたいな顔してんだ。話は終わってねえからな」
「えっ」
「あのいけ好かねえクソ野郎と散々すったもんだしといて、よくもまあ俺らに報告もせずに付き合おうなんて思ったなあ?あ?」

カゲにガシリと頭を掴まれて、思わず喉の奥から悲鳴が漏れる。
犬飼この野郎、爆弾投下するだけ投下して丸投げとか許すまじ…!

title/twenty


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