噂ｰｳﾜｻｰ それからしばらくして、警察から家族に、捜査報告がなされた。 【白峰 雨月】 友人ら４名と廃校へ肝だめしに行くことが確認されているが、その後の消息は不明。 廃校に居た痕跡も見つからず、未だに目撃情報もなし。 【灯屋 牡丹】 同様に友人４名と肝だめしに廃校へ行くが、やはりその後の消息は不明。 何か事件に巻き込まれたのか、唯一の生存者である皿屋敷乃鞠の右足首についていた血液は灯屋牡丹本人の物と一致するが、目撃情報はない。 【泉 八雲】 友人４名と肝だめしに廃校へ行った後、何らかの事件に巻き込まれ、負傷したものと推測される。 音楽室から発見された大量の血液は鑑定の結果、泉八雲本人のものと判明。 出血量から生存は絶望的。 本人の遺体は未だ発見されていない。 【四谷 魁】 同じく肝だめしの最中に何らかの事件に巻き込まれ、負傷したものと推測される。 唯一の生存者、皿屋敷乃鞠が握っていた左手は、鑑定の結果、四谷魁本人のものと判明されるが、左手以外は未だ発見されず。 【皿屋敷 乃鞠】 今回の事件、唯一の生存者。 発見時、右足首を何かに握り潰されたように骨折しており、同じく、両肩も何かに押し潰されたようにして骨折していた。その部分に付着していた血液はそれぞれ友人のものと判明しているが、なぜ付着したのかは不明。 現在その怪我は完治。 想像を絶する体験をしたのか、精神は崩壊し、事情聴取は不可能。 現在は、精神病院へ入院しているが、回復の見込みは、ゼロ。 時折、パニックを起こし、自傷行為を起こすが、それ以外のときは、生気が抜けたように黙り込んでいる。 日常的に幻覚、幻聴が見られ、誰もいないところに向かって話し掛けたり、自分の右手には未だに四谷魁の左手が繋がれていると言い張り、愛おしそうに頬擦りしている様子が目撃されている。 結局、あの廃校で彼らの身に何が起こったのか、それを解明することは出来ないまま、事件は迷宮入りとなった。 家族は未だに、我が子の無事を祈り、情報を求めているという。 それと同時に、子供たちの間では、再びある噂が流れ始めていた。 『最終下校のチャイムが鳴った後の校舎には絶対に入ってはいけない。 入ったら最期、サクラコさんに連れて行かれる』 その噂は、静かに、そして確実に、子供たちの間に浸透していき、事件のあった廃校へは誰一人として近づく者はいなくなった。 ｰ了ｰ [mokuji] [しおりを挟む] |