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伊達支社長の奥様/政宗



それは出社してすぐの出来事。


「伊達支社長の上下スーツばらばらですよ」
「‥ah‥?」

社内の女子社員にそう言われ、政宗は手に持っていたジャケットと自身が履いているパンツを見比べた。

‥‥ジャケットは無地、パンツはジャケットと同色ではあるがピンストライプ。

「‥どうしたもんか」
「でもあまりわかりませんよ、遠目なら」
「あくまでも遠目だろ?」
「珍しいですね、完璧主義のあの可愛らしい奥様が」

昨晩はその可愛らしい奥様と一緒に風呂に入りそのままイチャイチャし始め、壁に手を付かせ尻を突き出させ後ろから肉棒を刺した。
マシュマロのようにふわふわと柔らかい乳房を揉み弄くる。

「‥あっ、ああ、」

彼女の控えめな喘ぎ声が響く。
可愛くて可愛くて仕方がねえ。
本気で食べちゃいたいくれえだ。
最終的には横抱き、いわゆるお姫様抱っこってやつで彼女をベッドまで運び、それはそれは一晩中彼女の躰をすべてを愛した。

その結果、奥様は珍しくパジャマ姿にエプロンで朝飯を用意し、寝ぼけ眼でネクタイを結んだ。

「‥ん、こんな感じ、か‥な」
「すまん、ムリさせちまったか」
「大丈夫大丈夫だいじょ‥」

大きな眼をしょぼしょぼさせながらジャケットをオレに手渡す姿を思い出す。


「そうか、あの時な」
「支社長‥顔がニヤついてますって」

今日は得意先も回らないしデスクワークとあがってきた書類の審査のみ。
ま、どうにかなるかと考えていればジャケットのポケットに入れていた携帯が震えた。

「‥伊達です」
『政宗?ジャケット間違えちゃった』
「ああ、そのようだ」

噂の奥様からの電話、ピンストライプのジャケットを持って会社まで来ると言う。
自宅から会社までは地下鉄で約十五分ほどの距離。

「ならば大通公園の一番手前のベンチ辺りにいてくれ」
『うん』
「テレビ塔側じゃねえぞ」
『わかった』


そうして三十分後、仕事を中断し副長にスーツばらばらの旨を伝え、アトリウムを抜けオフィスビルを後にした。
歩いて数分で大通公園に到着する。
公園の一番端のベンチに座っているであろう彼女をゆっくりと探した。

公園内にはとうきびワゴンが出店している。
そのワゴンの近くに顔中を和やかにして笑う彼女を見つけた。

「政宗、とうきび」
「‥」

比較的日陰の多いベンチ。
日傘を立てかけジャケットが入っている紙袋は脇に置いてある。
若干首の詰まった黒いワンピース姿の彼女の膝の上にはほくほくしたじゃがいも。
とうきびセットを購入したのは一目瞭然で。
そういえばとうきびワゴンにはかき氷も用意されていた。
だが可愛らしい奥様はその姿に合うイチゴ味のかき氷ではなく、とうきびを頬張りじゃがいももぱくぱくと食べる。

そして嬉しそうに、にこにこと笑う奥様の前歯に挟まっているのはとうもろこしの皮。

「‥美味いか?」
「うん」
「前歯にとうきび挟まってるぞ」
「え?」
「お前は本当に可愛いな」

真っ赤に顔を染め口元を覆う最愛の奥様は表情をコロコロと変える。
次はどんな顔をみせてくれるんだ?
何を想うんだ?

お前といるとオレは忙しくてとても幸せだ。
 


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