失ったもの、残されたもの


しぐれがいなくなって数日
至って変わらない生活

いつものように池袋へ出向いていた
面白いことが起きるだろうから

起こすつもりでもあるが。

街というのは面白い
多種多様な人間が
思い思いの目的をもって歩く

『あの、』

後ろから呼び止められた。

振り返れば、人形のような容姿をした
美少女、という分類に入るであろう少女がいた。

「何か用かな?」

いつもの作った笑顔
作った無害そうな雰囲気で先を促す。

『道をお聞きしたいのですが』

どこか懐かしさを感じるその声
どことなく見覚えがあるような、そんな気がしたが

否定した。

しぐれはもういない
いないのだ。

しかし目の前の少女は
しぐれにとてもよく似ていた。

また、会えましたね
どこか遠くで聞こえたような気がした。


*end*

→アトガキ


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