世にあってはならないもの


池袋の街は何も変わらない。

道を歩く学生も
黒人の客引きも
都市伝説も
喧嘩人形も

全ていつもと同じ日常をおくっていた

人ごみの中心にしぐれはいたが
誰に気付かれる事も無く
ただただそこに立っていた。

少し前まではモノに触れることができた。
身体もはっきりうつっていた。

今はモノを通り抜けることができた。
身体は半透明で、透けていた。

誰に認識されるわけでもなく
消えていく

この街にいてはいけない
あってはならない

私はそういう存在だ
それを知ったうえで私はここにいた。

私がこの世界から隔離されるまであと……
私の記憶が消えるまであと……

……私の存在が再び戻ってくるまであと


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