アカアシモリフクロウ | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
「今年もよろしくね」

はぁ?と喧嘩を売りたかったが、やめた。精神を乱すのはやめよう。

毎年恒例、ゴールデンウィークのバーベキューだ。忙しい職場ゆえ、恋人がいる人間も少ない。万が一、そういった相手が出来たとしても、1年未満でサヨナラする人が多かった。
そんな状況をいいことに、部内の人間でバーベキューをしよう、とどこかのバカが言い出したのだ。最高の自由時間・ゴールデンウィークを邪魔するなんて許せないが、私は新入社員でおまけに女ということもあり、参加必須だった。おまけに恋人もいないのでトリプルパンチと言うところだ。所謂、“最悪”である。

「あと赤葦もね、バーベキュー係。みょうじに詳しいことは聞いて」
「はい」

よろしくお願いします、と赤葦くん。猫被るなよ、と思ったがお互い様だと気付きよろしく、と笑顔を作った。

「毎年なんですか」
「らしいよ」
「アクティブですね」

上司から離れると、彼はボソっと聞いてきた。面倒くさいですね、と顔に書いてある。ちょっとは隠せよ。

「赤葦くん、あからさまに嫌だなぁって顔するのやめてくれる?」
「みょうじさんの前でしかしませんから」

口角を釣り上げて、そう言う彼は意地の悪い顔をしていた。割と性格は悪いのだろうか。

「何するんですか、バーベキュー係って」
「食材の調達とか」
「ざっくりしてません?」
「いま仕事溜まってるから後でいい?」
「それじゃあ今日飯どうですか」
「…え?」
「早いうちに把握しておきたいので。急ですか?」
「大丈夫、です」

顔色も声色も、まったく変えずに彼はそう提案した。何を言っているのかイマイチわからず、返事が遅れてしまう。

「店、予約しておきますね」
「うん…ありがとう」

本当、わからない男だなぁと唖然とした。苦手なものあります?と続けて聞かれたが、ないよと答えて会話を終わらせた。
こんなことならもうちょっとおしゃれしてくればよかった。もっと早く言ってよ。

2016/01/28