アカアシモリフクロウ | ナノ
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じゅ、ぬちゅ、といやらしい音が響いて脳をどろっと溶かしていく。彼は余裕綽々で、私の方は次第に呼吸が困難になり、声も漏れる。

「ん、っふ、かあし、く」

彼のしっかりとした胸をばしばしと叩く。一旦唇を解放してはくれたが、機嫌が悪いようで。

「なに」
「くるし、」
「もうちょっとがんばってよ」
「ちょっと、待って」

腹を上下させ、彼の胸の辺りにもたれ浅い呼吸を繰り返す。くらくらとして腰もがくりと安定しない。
こちらが必死に息を整えているというのに、赤葦くんは私のTシャツの中に手をしゅるりと忍ばせ、下着の上から膨らみにむにゅりと触れる。

「ひゃ、なに、やだ」
「ひま」
「はぁ?頭おかしいんじゃない」
「キスさせてくれないから」
「…あのねぇ」
「ね、もう一回したい」

素直な彼に流され、飽きるほどキスをした。もうどちらの唾液が口内に広がっているかもわからない。思考はもうぐたぐたで、彼にされるがままだった。

「も、い?」
「ん、」

彼はそれだけ言うと、また私の首筋を軽く噛んで、痕をつける。小さく声をあげると、嬉しそうな彼がいて。疲れた、と食材もそのままにキッチンの床にへたりと腰を下ろす。彼も私と同じように腰をつけ、真面目な口調で言う。

「今度は忘れないでくださいね」
「…根に持つ男だね」
「言っておきますけど、好きだって言ったのもキスしてきたのもみょうじさんですからね」
「キスも私からしたの?」
「はい、舌突っ込まれました」

気まずい。あはは、と取り敢えず笑っておく。もしかしたら、とは思っていたがまさか本当にしているとは。しかも自分から。

「もう酔っ払わないでください、二度と。誰に何するかわからないんですから」
「…言い訳がましいけど、記憶飛ばしたのなんてあれが初めてだからね」
「え?」
「赤葦くんがいたから、つい」

そう言うと彼の顔がほころんでいく。顔の筋肉が緩み、緊張感もなくなって。

「…かっこいいのに台無しだよ」
「失礼を承知でお伝えしますが、毎回あぁだと思っていました」
「…どういうこと」
「酔っ払って部屋に男連れ込んでるんだろうと」
「なんだそれ」
「あの職場であぁやって生きているみょうじさんだから、恋愛もガツガツしてるのかなぁって」

赤葦くんはもう私にあまり遠慮もしていないようで、失礼なことを堂々と発表する。一気に生意気な後輩に仕上がった。

「そんなことしないよ」
「そうみたいですね。勘違いしてました」
「聞いてくれればいいのに」
「飲み会の度に男持ち帰ってるんですか、って?」
「そもそもそんな風に見える?」
「初めての飲み会でさっそく誘われて家連れ込まれたので」
「…思うね。そりゃ思うわ」

彼の話は理解しかねるところもあったが、辻褄は合っているなぁと思えた。酷いことしたなぁ。

「ごめんね」
「え?」
「誤解させちゃった」
「いや、俺が勝手に」
「赤葦くん、かわいいね」

何気なくそう言ったのに、彼はそれが気に入らなかったようでムスリとする。そういうところがかわいいんだけどなぁ。自覚していないのだろうか。

「みょうじさんの方がずっとかわいいですよ」

彼はそう言ってにやりと笑うと、またソファで唇を重ねてくる。よく飽きないなぁと、半ば感心した。

2016/02/14