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組み敷いたエンヴィーの薄い身体が震えているのを感じる。
息を荒げ、目を赤く泣き腫らした表情が酷く欲情的。
勃起したそれを爪先で辿ると、彼の腰がヒクヒクと動いた。
「足でされても気持ちいい?」
「ぅ……ぁぅ…ッン…」
「ね、エンヴィー?」
「!!……ァぐッ…!」
髪を引っ張って頭をぐっと近付ける。彼は顔を歪めたまま、私を見上げることしかできない。
「今まで何人の女の子とヤッてきたの?」
「ーーっあぁ!ッひ、ぅぅ…」
爪先で押し潰すように刺激すると、目を見張って喘ぐ。私は髪を掴んだまま、手を離さない。
「この学校は確かに、食料の宝庫みたいなもんよね、ヴァンパイアにとって…」
「ぁっ…ん、やめ、……っ!」
「まぁ、生徒たちだって満更嫌でもなかったんじゃない?こんなかわいい先生に食べられるなんて」
「ぅあ!やだ…っぁあ、ンッ…!」
陰茎を逆手に握って、そのまま上下にスライドさせる。先端に滲んでいる液体を擦り付けるようになぞると、グチグチと音がなって、一層滑りを良くした。
「ッあああ!やだ、で、るッ……ふぁあ!」
「ふふ、いいですよ、出してください」
「ひっぁぁ、イク…んっ…ぁあああああッ!!!」
ビクッと大きく痙攣したと同時に、私の手の中で射精。空イキした分溜まった精液は手の中に留まらず、私のスカートやエンヴィーの腹を汚した。
勢いを失ってもまだ出続ける精液を絞り出す様に根元から抜けば、エンヴィーは高い声で鳴くのだった。
………
「ふ、ぁ……ぁぁッ…ん…」
「いっぱい出たね、……もう精巣の中空っぽなんじゃない?」
ハイドはその美しい容姿とは裏腹に、酷く淫猥な言葉を口にする。疲労感でぼやけた視界に、彼女の悪魔の様な微笑みが映っていた。
「あれ、もうお疲れですかエンヴィー先生。やだなぁ、楽しいのはこれからなのに…」
ソファーの上に組み敷いた状態のまま、ハイドは制服のポケットを何やらごそごそとあさる。そして何かを手に取ると、それを目前まで押し付けてきたのだった。
「これ、何かわかりますか?」
「……赤い……血……?」
「そう、こんなこともあろうかと私の血液を持ち歩いてたの」
彼女はうっとりとした表情でフラスコに入った血液を眺めている。
「コーヒーに入れて飲むも良し、赤ワインに混ぜて香りを楽しむも良し……この血の毒の即効性はエンヴィーが体感してるからわかるよね?」
フラスコの栓を抜くと、甘美な香りが鼻腔を擽った。この世で最も美味な毒の香り。その魅惑的な香りが、今の自分にとっては怖ろしい。
ハイドはその端正な顔をぐっと近付け、貼り付いた笑顔はそのまま、血液の入ったフラスコを自身の口の前で揺らした。
「どう?今朝取ったばかりの、新鮮な血液」
血を飲まされる、と覚悟した途端、フラスコは逆の方向に向いた。彼女は自身の口に押し当て、そのまま一気に飲み干した。
「!!何、を…」
ハイドの予想外の行動に驚く間も無く、唇を塞がれた。柔らかく暖かいハイドの唇の感触に、思わず口を開いてしまう。彼女の手が頭を掴んだと同時に、口の中に甘美な血液の味が広がった。
「ッんン!」
ちゅくちゅくと鳴るのは互いの唾液か、血液か。
どちらにせよ、再び熱を帯びてきた頭では、考える余裕などはなかったのだ。
「まだまだ、楽しませてもらいますよ」
端正な口端から流れ落ちる真紅の血液に目を奪われる。
再び沸き起こる身体の熱は確実に、しかし少しずつ、思考と理性とを削っていくのだった。
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