vamp | ナノ


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「ーーっは、ぅ、んんぅ!」

「ァ、ん、はぁ……どう、ですか?エンヴィーせんせッ…」


ハイドが腰を動かす度、痺れる様な快感が全身を駆け巡る。普段は処女ばかりとしていたから、リードされる行為など初めてかもしれない。
騎乗位で腰を振られて、一方的な快感に鳴けば、欲情を煽るように息を荒げたハイドがニヤリと笑うのだった。


「ふぁ……ッこ、の……ビッチが……!」

「…あは、エンヴィー…ンッ…何言ってんの…?」


ぐ、と喉を掴まれて、背筋に悪寒が走った。喉を圧迫する力は弱くとも、自身を威嚇するには十分な刺激を与えていた。


「私をこんな身体にしたのは……あんたたち吸血鬼のクセにッ……」

「っふアぁ!?…ぅぐッ!!」


突然動きが早くなった、かと思うと、口の中に指を突っ込まれて掻き回された。ぐちゅぐちゅと鳴る口と繋がった部分が卑猥な水音を部屋中に撒き散らしている。
次第に激しくなる行為に、絶頂へと追い詰められていく。


「ッァア!イ、く……ッひぅ…!」

「ちょっと待ってくださいよ……勝手にイかせないから…」


ぐじゅ、と音がして、生暖かい体内の温度が離れる。自身は先走りか愛液か、何かの液体で濡れて、情けなくもはちきれそうな程勃起していた。
その先端を掴んで鈴口を人差し指でつつかれれば、腰が跳ねるほどの快感。


「……最初は、信じてなかったよ、吸血鬼狩りなんてモノは」


「ッぁ……な、に……あぅ…!」


鈴口から滲む先走りを塗りつけるかのように指を動かす。鋭い刺激に眩む視界の中、ハイドの楽しそうな表情を見た。


「でも初めて、吸血鬼に血を吸われて……犯されて……やっとわかったの、私の存在意義」


「ひあァ!!やめ、…ぅあああッ!!!」


先端を手の平で捏ね回され、その強烈な刺激に声を抑えることはできなかった。
グチグチと粘着質な音が響く中、彼女の手は勢いを増していった。


「っは、やっああ!いや、ァア……それ、だ…ッめぇえ!!」


「ふふ、エンヴィー、女の子みたい」


「も、だめ、だ、め…ッは、ああああァぁぁッ!!」


ぐり、と、鈴口に指を突っ込まれて。
鋭い快感と共に、絶頂に達した。ガクガクと痙攣する身体に、自身の精液がこびりつく感触を感じた。


「先端弱いなんて童貞みたいですね、エンヴィーって」


「……ぅ、……?」


パチン、と音がして前を見ると、何処から取り出したのか、ハイドの手にはサバイバルナイフが握られていた。


「鉄の杭じゃなくても、死ぬんですよ、吸血鬼って」


「!!っ何、を……!!」


逃げようとしても、身体に力が入らない。熱に浮かされた頭では、最低限の言葉しか紡ぎ出すことはできなかった。


「……私の初めてを奪ったのも、人生を狂わせたのも、全部全部、あんたたち吸血鬼のせいだ。吸血鬼なんて、ひとり残らず死んでしまえばいい」


ハイドは淡々とした口調で語る。その表情はいかにも楽しそうでーー真意は図りかねる。彼女は面白そうに手に持ったサバイバルナイフを電灯に透かした。


「……でもね、エンヴィー。あなたには特別に選ばせてあげる」


天使の顔をしたハイドの悪魔のような微笑みが、目前へと迫った。


「これから先エンヴィーが私のものになるなるんだったら生かしてあげる。吸血だってさせてあげる。…私の血で良いならの話しだけど」

「っな、じ、冗談じゃな……」

「それなら死ぬ?」

「……っ!」


なんて究極な二択。逃げてしまいたい。けれど身体は、動かなくて。


「……残念だな、そんなに私がイヤ?」

「は……?」

「素直に私のものになればいいのに。死と迷うほど嫌なの?」

「え……い、や……」


そんな切なそうな顔で改めて言われても困る。そもそも、ハイドの顔は良い。色っぽいしそそるし、好みの人間だなって最初会った瞬間思った。血も変な毒さえなければ最高だし。上玉だ、てな。これで処女ならなぁ…後このエンヴィーに従う性格であればな、と。


「ま、悩むくらいならいいよ。残念だけど、ばいばい、エンヴィー」


ぐるぐる考えを巡らせていたら、ハイドが痺れを切らしたのか、それとも単に諦めたのか、ため息をついて喉元にサバイバルナイフをあててきた。


「ちょ、ま、待ってよハイド!なる!ハイドのものになるから!!」


命乞いをした。究極の二択、死にたくなくて、この選択を口にした。
するとハイドはにんまりと笑って、情けなく震える唇に軽くキスを落とした。


「そうこなきゃ、面白くないわ」


弧を描く唇、表情は官能的で、吸血鬼の自分すら思わず見惚れてしまう程に美しい。
その微笑みに息を飲めば、ハイドは唇にぴたり、と指先をあて、ツゥ、といやらしく撫でた。


「ま、化物同士仲良くしようね」


朦朧とする意識の中、 身体の熱と死の恐怖とに揺れながら、頭の奥底では満更でもないと、確かにそう感じていた。





END



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