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この温度を感じていてもいいのだろうか
彼の腕の中、涙に浮かされた頭でぼんやりと、そんなことを考えていた
(この涙はなんなのだろう)
(彼の言葉が頭の中を、ぐるぐると廻る)
「アル…」
彼の名を呼ぶ
精一杯声を出したつもりでも、彼の耳に届くことすら危ういような、小さな響きだったに違いない
「キャリー…?」
全てを知った上で、好きだと言ってくれた
抱きしめてくれた
これ以上の幸せが、あるだろうか
「 私も、好き 」
彼の温度を感じながら、叶うならずっと、こうしていたいと思った
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