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キャリーの手を掴んで一目散に走った
お互いの息が切れた頃、辺りは真っ暗で、夜景を見下ろすような丘の上に来ていた
「……どうして…?」
僕を見るキャリーの表情は不安と疑問に満ちている
「…どうして、私なんか………」
「言っただろ」
「アル…」
「嘘を信じるような浅はかな奴だったら、キャリーに好きだなんて言わない、って」
「違う、嘘なんかじゃ…!」
「知ってる。わかってるよ。だけどキャリー、君は…本当はこんなことしたくなかった」
「違っーー」
「じゃあ何で、泣いてるの」
キャリーは両目からボロボロと涙を流していた。
下を向いて、溢れる涙を拭いながら、子供のように泣いていた。
その姿が、あの日の夜に重なる。
「キャリー……」
彼女の身体を、抱き締めた。
あの時触れられなかった、キャリーの小さな温度
あの時言えなかった、言葉
その全てを今、キャリーに伝えられるような気がした
「 どんなになっても、キャリーが、好きだ 」
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