▼ 9
走って行ったアルを追いかけている内に、辺りは暗くなっていた。
人通りの少ない道を、背の高い街頭が照らしている。
「兄さん!」
前から歩いて来るのは弟と、幼馴染みのキャリー
「……何だよお前ら」
二人はしっかりと手を繋いでいて、その姿はまるで、
「恋人、かよ」
そう言うと彼らは顔を見合わせて、気味の悪い笑みを浮かべた
「そーゆーこと、かな?」
(クスクスと笑い合う姿も、)
「……いちゃついてんのも、昔と変わんねーな」
三人の笑い声が、暗くなった空に響く
あの頃と変わらない、帰り道
弟と幼馴染の後ろ姿が、幼い姿の二人と重なって見えた
END
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