黒猫 | ナノ


▼ 人間と猫


黒くて可愛らしい耳が、ふわふわと揺れている。黒猫だ。そっと頭を撫でると、その猫は顔をあげ、端正な顔を私に向ける。
「……エンヴィー?」
私の上に覆い被さるように、エンヴィーの体があった。簡易ベッドは掛け布団がなく、シーツの上にふたりで寝ているような状態だった。
私は長袖のシャツを着ていたが、それ以外は下着すら身に付けていないようだ。
「起きたの?」
「ん…どのくらい、寝てた?」
「20分くらい、かな」
ぼうっとする頭で、今の状況を考える。エンヴィーを探しに行って、男たちに襲われて、エンヴィーを見つけて、それからお風呂で…
「!!……あの、えっと、…」
「ごめんね、かおる」
突然抱き締められた。エンヴィーの声は少し水分を含んでいて、震えている。
「エンヴィー…」
「大好きなんだ、かおるが。大好き…」
暖かくて、心地よい。エンヴィーの声も、温度も。
「だから、すごく嫌だった。他の男に触られてるのを見て、…それに、前だって、そんなことされて、かおる泣いてた……すごく、嫌で…それで……」
「私も、」
気が付くと、私も泣いていた。
「…私も、エンヴィーが好きだよ…」
エンヴィーが驚いたように、だけど少し悲しそうに私を見た。
「私ね、男の人が、苦手なんだ…。だから、普通ならこうして触れ合っているだけでも怖くて動けなくなるんだよ…。だけど、エンヴィーには、そんなことならないの。そんなの、初めて、だよ…?」
「でも、エンヴィーは人間じゃ…」
「それでも私は、
エンヴィーじゃなきゃ、嫌だよ…」
エンヴィーの口を、私の口で塞ぐ。柔らかい唇の隙間から舌を侵入させると、彼も舌を絡ませてきた。ゆっくりとお互いの舌を堪能するように舐め合う。微睡みのような快感が心臓の鼓動を早めた。
静かに口を離すと、涙で濡れたエンヴィーの瞳が間近にあって、少し見惚れた。
「かおる…」
「エンヴィー、…最後まで、しよう…?」

キスだけでも私の体は火照っていて、秘所が濡れているのを感じる。
今まで知らなかった。
好きな人に触られることがこんなにも気持ち良くて、幸福なことだったなんて。
エンヴィーは服の上から私の胸に優しく触れた。布と突起が擦れる感触に身を捩る。
「んっ……はぁ…」
「柔らかい、ね」
下から掴むように揉まれて、服の上から舐められると、直に触れられるより厭らしくて、気持ち良い。
「ふぁっ!…エンヴィー、こっちも…」
自分の指で秘所の肉を広げて、彼を誘う。そこはドロドロに濡れていて、広げただけで愛液が指先に伝った。
「かおる、濡れてて…綺麗だよ」
「ひっぅぅ、っあああっん!…エンヴィ…、きもち、いっぁんっ!!」
ワレメを優しく舐められ、その強烈な刺激に震える。愛液を舐めとるように舌で秘部を擦られると、追い打ちのように愛液が流れてくる。
「ああぁぁぁっ!んぅぅ、ぁはっ…」
顔を押し付けるように舐められると、彼の鼻先が陰核に擦れて震えてしまう。
私が反応する度、顔を強く押し付けて、陰核をグリグリと刺激される。
「ひぁぁっ!!エンヴィ、んはぁっ!…きもち、よぉっ!ああぁぁっ!!」
ピチャピチャと厭らしい音が響く。私が彼の頭を撫でると、エンヴィーは顔をあげた。
「かおる…?」
「ん…そろそろ、いいよ…」
エンヴィーを膝立ちにさせ、彼の陰茎に触れると、そこは熱くなっていた。
口に含んで唾液を擦り付けるように舐め上げると、彼はビクビクして私の頭を抑えた。
「ふぁっぅぅ……!」
「エンヴィ、…もう硬くなってる…」
先端から液体が滲んできて、それを吸い上げると、大きい声で鳴いた。
「ぁはっ!ふっぅ……かおるっ…」
先端を口に含んだまま、彼の手を取り、私の秘所に導く。ワレメをなぞって、膣口に彼の指をあてがう。
「ここ、…ほぐして」
「ん、」
指が侵入してくると愛液でクチュっと音が鳴った。バスルームで一度侵入を許していたからか、痛みも無く彼の指を受け入れてしまう。
「っんっふぅっ、んんんっ!」
「っんっん、…ここ…すごく、熱い…」
右手で裏筋を撫でながら、口で先端を舐め上げる。彼の指が膣壁をこする度、力が抜けるような快感を覚えた。
「…ふっぅ…、エンヴィー、も…、いれて…」
「ん……かおる…っ!」
エンヴィーは私の上に覆い被さるように手を付くと、そのまま膣口にあてがい、ゆっくりと私のナカに侵入した。
「っふ、はうぅっ……エンヴィー、んっぁっ!」
「かおる…っ!」
ゆっくり、私を気遣う様に、腰を動かす。暖かくて、気持ち良くて、嬉しくて。涙が出た。
「かおるっ…?痛い、の…?」
突然泣き出した私に戸惑ったのか、エンヴィーが心配そうな顔で私を見た。
「違うよ…エンヴィー、嬉しくて…」
「…エンヴィーも、嬉しい…」
手を握り合って、腰を動かし、体を合わせる。次第に動きは早まって、お互いの息があがる。肌を合わせる音が部屋に響いていた。
「あっあっ…はぅっんん…っ」
「んんっ…かおる、かおるっ」
彼の体がビクビクと痙攣したーーと同時に、私のナカに熱いモノが広がった。
「はぁっ…かおるっぁ……」
「ん……、もう少し、このまま……」
繋がったまま、静かにキスをした。唇を付けるだけの、優しいキス。
唇が離れると、私はエンヴィーの耳を撫でた。
黒くてふさふさした、人間じゃない形の耳。
「…ねぇ、かおる」
「なぁに?」
「……何でも、ない」
ふわっと、優しく微笑むエンヴィーが愛しくて。
彼の頭を抱き抱えるように包むと、目を瞑って、余韻を感じていた。

(今初めて、人間になりたいなんて、思ったんだよ)


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