無実の罪を知れ


 若いとは、時として罪なものだ。そう言ったら、毒林檎を片手に妬む魔女のようだと笑われてしまうだろうか。しかし、存外似たようなものかもしれない。形は違えど、確かに嫉妬している。
「ウォン先生、先生ってば」
「聞こえているよ。病院では大声を出さないように」
「先生が、返事してくれないせいだもん」
 ねえ、と。戯れを装って回された腕の中、背中から聞こえてくる心音の速さに。平静が、音を立てて壊れそうだ。
 隠していても隠しきれない、甘やかなその恋が。自分に差し向けられていると気づいても、私は彼女のように、素直に応えることはできない。心臓の音も、声音も、表情も。すべて隠しきれてしまう。本当はこんなにも、とっくに壊れていても。
 初恋のような眼差しを、向けないでくれないか。その純粋が息苦しく、君が、羨ましい。そう言ったら、きっと若い彼女は、躊躇いもなく言うのだろう。そんなことを言うくらいなら、先生も本当の気持ちを教えてよ、と。


(ウォンとアカリ)



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