水の永遠


 貴方の傍では流れる時間も、息を潜めて感じると言ったら。どんな顔をして私の話を聞いてくれるだろう、とても言えないけれど。呼吸に困らない水の中のような、許容され、愛されている感覚がいつもある。貴方の隣には。
「セルカさん、私に何か、言いたいこととかない?」
「言いたいこと、ですか?」
「いつも私ばかり、甘えてる気がするから。それじゃいけないかなって、思って」
 だから気がつけば、私はそこへ帰ろうとでもするかのように。こうして傍へ来てしまうのだろう。足りないから会いに来るのではない。不足を満たす以上の感覚を、貴方はくれる。貴方の傍で、私の心は器の形をしていない。私自身の姿をして、水を受け止めるのではなく、せせらぎの中に横たわっている。
 言いたいこと、ですか。聞き返す口調から考えるそれに変わって、しばし内側で探し物をするように瞼を伏せていた彼は。やがて思い立ったように、ふっと微笑んで言った。
「――貴女が、好きですよ」
 嗚呼、ほら。


(リオとセルカ)



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