色を分かつ


 対極をゆく、というのは、例えてみればこういうことだろうか。どこまで互いを辿っても決して同一になる場所などなく、二つは別物であることを証明する事実ばかりがそこにある。反発する成分が分離を繰り返すように、離れることは楽だ。けれど、そうと知りながらどこかで繋がりを持ち続けるのは。
「指が、長いですね」
 ぽつりと、呼吸のように零された言葉。顔を上げれば、果実のような眸と視線が重なる。ゆうるりと赤く揺れる、その眼差しの中に俺がいた。相対しない、似通った二つの色を持つ目が、彼女の目には映っている。
「……君の指は、細い」
 互い違いに組んだ指は、煉瓦の色と白を繰り返す。決して混じり合わず、分離も選ばず。対極にあって、何よりも近い。同化することが不可能であるからこそ、この手で触れることもできる。どちらかの存在が、どちらかを飲み込むことも怖れずに。


(魔法使いとヒカリ)



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