Ginger pop


 ねえ、と。呼ばれて振り返ったと思ったときには、とっくに唇が塞がれていた。何してんだ、と言いかけて、けれども声にならなかった思考は脳内で破裂する。炭酸が散っていくようにシナプスが断ち切られて、混乱状態に陥って初めてかっと熱が昇るのを感じた。何をしているんだと、今度こそ状況を理解した上で心からそう思って手探りでその肩を掴む。金の髪が揺れて、やけに近い眸が万華鏡のように煌きながら開いていって、ようやく離れた。
「何やってんだ、バーカ」
「……」
「あれ?言わないの?」
悪戯っぽいそんな声が、嫌に甘ったるく聞こえてしまうのはきっと自分の耳のせいだ。真赤になっているだろう顔はどうやらもう見られた気もしないでもないが、赤くなんてなっていないと自分に言い聞かせつつ、ようやくジャケットを離した彼女から目を背ける。ああ、本当に。
「……言えるか、バカ」
これだから、こんな女大嫌いだ。いつの間にやら繋がれている手の、涼しさに気が触れてきつく握り直した。

ニールとリオ



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