Flora


 春を編む人と言ったら、気障な人と笑われてしまうだろうか。僕の恋人はそう言って、僕の言葉を時々恥ずかしがっては笑ってごまかす。世間一般の感覚から見て僕は自分をどちらかというと口下手な部類に当てはめているのだが、どうにもふと口をついて出ることほど飾り気があったりするらしい。ならば、常に無意識でいたら彼女はどうするのだろう。僕が思うこと思いつくことをそのまま流すように口にしたら、彼女は何と言うのだろうか。急にお喋りになったことに驚くのだろうか。それとも、どうしたのと笑うだろうか。ああ、或いはちょっと膨れてからかわないでとでも言うのかもしれない。想像してみたらそれが一番しっくりきて、僕は一人、そんなささやかな考え事を完結させた。腕時計を見て花を置き、鋏を片づけてリボンを巻き取り直す。今日は晴れの金曜日。きっと、いつもの場所で彼女に会える。

カミルとサト



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