Innocence


 この左胸にあるものをすべて、真珠に変えて貴方に譲れたらいいのにと思った。私が先立つ貴方の生まれ変わる、そのときを本当に待っていていいのかとこうして怖れているように、貴方もまた後に残る私が約束を守って待ち続けられるのかと、きっとどれほど心寂しいことだろう。そう思うのが自惚れなどでないと、今の私は知っている。けれど貴方はどうだろうか。私は貴方に、貴方の還る場所は世界のどこであっても私の傍だと、それを伝える勇気が未だに持てない。生命の束縛、運命の掌握。はたしてどこまで許されて構わないものなのか、貴方はどこまでそれを許してくれるのかと今もなお測り続けてこの腕は空を抱いている。いつの日か貴方が輪廻の一雫となり、その巡りに乗って戻ってくるそのときまでに、答えは出るのだろうか。否、出さねばならないと分かっている。けれどもだから、ああどうか、どうか。
 この胸の純情をすべて、真珠に変えて。私の言葉にすることが到底間に合わない言葉たちの代わりに、何遍先も何遍先も貴方に持っていてもらえたらと切に、切に願うのだ。

女神とユウキ



[ 9/26 ][*prev] [next#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -