Juvenile


 些か子供じみたことで些か子供じみた口論になり、些か子供じみた彼女は先ほどからずっとそっぽを向いて口を尖らせている。そのアピールは至って真剣なものなのかどうかと訊ねてみたい気もしないでもないが、少なくとも百パーセントのユーモアでないことは明白なのできっと訊いたらますます怒らせてしまうのだろう。こと彼女との接し方については些か子供じみた僕でも、それくらいのことは判断がつく。どうしたものかと考えて、考えに考えて、何と言うか沈黙が気まずくなってきた。そもそも初めの理由がそこまで大きなものではなかった分、こうしてみるとどちらともなしに一体何をそんなに怒っていたのだったか分からなくなってしまった空気が滲み出てしまい、押し込めても押し込めても最早どうにもならない。ただ、口を開いたら負けのようなこれまた子供じみた暗黙の気配だけが僕らを沈黙させており、こうなってしまってはもう原因など忘れ去られたも同然なのである。ちらと視線を向ければ、桃色の髪から覗く丸い眸が慌てたように逸らされた。そんな仕草にふと口許が緩んでしまい、僕は彼女の形だけ組まれた腕を片方取って、その手の甲にキスをする。
「ルーミ。……悪かった」
「……本当に、そう思ってるんでしょうね?」
「ああ、勿論」
「絶対?」
未だどことなく不機嫌さの余韻を残した声に紛れて、くすくすと笑う声が零れだす。絶対の絶対だと返して、些か子供じみた僕らは仲直りとやらをする。柔らかな桃色の髪が首をくすぐって、つられたように笑いかけるのが何だか悔しくもあり、僕は今さらながらに年上ぶって仕方ないななどと呟いた。

ギルとルーミ



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