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O8







お昼は俺のリクエストで中華を食べました。
夜はホテルに戻ってきて何だか良くワカランがとてつもなく美味しいディナーを頂きました。



そしてようやく、まったりとした時間が流れています。
俺はこの時間に考えなきゃならない事が山ほどあります。





『‥‥眠たい、』



承太郎は風呂。
このくそ広いホテルでは脱衣場を隔てて風呂があるから、あんまりシャワーの音も聞こえない。

シャワーをこう、頭の上からザーッと浴びたらさぞ美しいだろうな…あの肉体美。男として羨ましいぞ。





おっとっとだ。
考える事はそんなんじゃなくて、もっともっと重大な事なんだ。



『…れうい。(眠い)』



例えばほっぺたを摘んで感じるこの痛覚。

なかったはずなんです、来た時には。あの時も俺は同じように頬を摘んで、いくら動揺してたからってアドレナリン噴出してたからって…ちゃんと摘んだんだよ!



だったら、なかった痛覚が目覚めた理由はなんだ。



俺は寝たら多分あっちの世界に戻る、けど、あっちで寝たら今度はこっちの世界に来ちゃうだろうしな…

もう夢なんて考え方は出来そうもない。別世界って考え方がきっと妥当だ。







問題は、この現象がいつ終わるか。そこだよ!!

一週間以上続いてみろ逃げ場がなくなんだよ…ッ!だから俺は迷ってる!迷っているんだァッ!!



『伝えるべきか、伝えざるべきか。』



一日二日で終わる現象なら言いたくない。面倒事は嫌いだ大キライだ!





どうやら俺が現実に帰ってる間に俺の身体は魂すっぽ抜けてソファーに転がったまんまだったみたいだし…逆もまた然り、だよな。

もしそれで承太郎が
「ハッ脈がないわ大変!シクシクそんな…火葬くらいしてあげるからね!」



ゴオオォォォ

現実の俺ギャアアアア!



みたいな事になったらどうしよう。どうしようもない。







考えても解決策なんて浮かばないじゃんか頭抱える一方じゃんかー…

ああもう…ふて寝してしまいたい。でも火葬されたら困るから承太郎が風呂上がって、俺もシャワー浴びたら寝よう。







『‥‥‥ふへへ、』


三秒で寝たお。























――――――…




『朝、だと…』


突き刺さるように眩しい朝陽のせいで目が覚めた。




これはやっちまった。
それでも今日はバイトがあったはず、どうしようこうしようと悩んでいる猶予すらない。

まだ疲れが残ってんのか、階段を降りるのがやけに身体にクる。それでも一段一段、ゆっくりゆっくり。

そうしてやっとこ全部を降りたら風呂に直行。シャワーを浴びて髪を乾かして、起きてきたばかりの母さんに挨拶。





『おはよ。』

「おはよう…アンタ随分早いわね。」
『うん、腹減った。』
「ハイハイ。」




シャワーで起こした脳ミソは考えることを嫌がってるみたいだ。

バイトもあるから承太郎のとこにある俺が抜け殻だってバレちゃうのは必至。
どうしよう?って考えても、先に出てくるのはまず飯でも食おうなんて。

もうこうなったら、なるなようにしかならん!男気溢れてるよッいいよ俺ッ!!






―――…〜♪




ポケットの俺の携帯が、静かな朝には却ってやかましい音量で鳴り出した。

携帯ポッケ入れてて良かった。また忘れてきたら若者的には色々困る。





『はいはいもしもし。』

「おはよ!起こした?」
『起きてた。お前今日用事あるんでねーの?なした。』




電話の相手は昨日のバカ。
朝っぱらから「ほへぇ?」なんて間抜けな声出して、相変わらずバカっぽい。





「ぼく、今日用事あるって言ったっけ?」

『昨日家に電話してきたろ。』

「いやいや家電とか掛けないでしょ。ふはーッ寝惚けてんの名前!ウケるね」




お前の脳ミソはマジで鳥並みだな、昨日あった事も覚えてないのか。

ウケる発言にやたらイラッとしつつ俺が大人になろうと自分に言い聞かせて『ハイハイそーデスネ』と流してやった。朝からそのボケに付き合う気力はない。





「でもヤバいよ、それ予知夢かもしんない。
実は明日用事入っちゃってさ、今日名前出勤でしょ?是非っとも代わって欲しいんだよッ!」

『‥‥今日、何日。』
「12、今日バイトだよね?」



『母さん今日何日?』
「12日よー。」








なるほどつじつまが合った。

日にち、経ってないのか。






「何でおばさんに聞き直」
『いいよ、俺も今日出掛けたかったから代わる。』

「ホントに!やっぱり僕ら運命共同た」
『うん、またね。』
「アッ」




アッてなんだよアッじゃえええよこのシリアスな場面で吹き出しちゃったじゃねえかよ!

アッだってお。プークスクス
焦っちゃったのカナー?ビックリちまちたねープークスクス





『今日バイトなくなったから寝るわ。』
「ご飯食べないの?」
『あーラップしといて、昼に食う。』




こうなったらもう俺は一人で抱え込まないぞ!!鬱になっちゃうからねッ!




部屋に戻った俺は押し入れからボストンバックを引っ張り出す。

まず充電器に財布だろ、一応服は買ってもらったけどあっちも時間戻ってるんだろうか。取り敢えず何着か持っていこう。
あとは何だ…そうだDSも持っていこう、モ○ハンとぷよ○よ大事。




『むん。』




承太郎に相談するんだい。

俺一人じゃムリだムリ。
さっきも言ったが面倒クサイのヤなんだよ!!何で俺がこんな目に遭ってんだ!?うわー考えない考えない答えでない考えないッ!





しかしどうしたもんだろう、眠くないぞ…

夢の世界の時点で俺の頭はいっぱいいっぱいだったんだ。こんな事まで起こったんじゃキャパが足りん、考える気力も起きん。

ご飯食べてから寝ようかな。
暢気だな、俺よ。




『‥‥何て言おう。』




カーテンを閉め切ってから、ボストンバックを肩から掛けて一緒にベッドへ仰向けになる。

ぼーっと天井を見上げながら重みのない声で呟いて、言葉にしたくせに頭を働かせることはしなかった。









目を閉じて三秒で寝た。

これはこれで、病気じゃあないのか俺よ。




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