×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

50








「スタンド使いだったって?仗助のヤツが知ってるってのにどうして僕に言わなかった?」
「元の世界って…アンタも自分は宇宙人デスゥとか言っちまうクチ?」




う、うるせぇ〜〜〜〜〜ッ!


露伴に関しては詳細じゃあなくて自分だけ知らなかったことに怒ってる。

面倒ごとは御免だから誰にもスタンド使いでェ〜〜す時間戻せまっすピースピーッスなんて言わないつもりだったよ!!!自分の能力がチートなことは自覚してますしおすしィ!






『じゅ、順番にお答えしますんで……玄関の扉を閉めて、居間に。』



とは言え、おれは承太郎といっしょに渡米するのだ。正直時間を戻してこの場から去ったっていいわけだ。
う〜〜〜んでも一応露伴は友達だし、仗助は承太郎の親戚だもんな。そうだ誠実にいこう。


そそくさと居間に向かう間も、目線が痛い。
どうしてこうなったんだ。(おれが予定を違えて1日早くきたからだ)








「僕の質問から答えてもらうぞ。スタンドが発現したのはいつだ?」



目的地であるリビングに到着するなり、どっかりとソファに腰掛け何やら威圧的な態度のバンダナ先生。

3人掛け用のソファはもう片端が空いているけど、仗助は腰を下ろさずに立ったままおれを見据えている。(隣に座るのはなんかイヤなんだと思う)






『気付いたの自体はつい昨日。発現したのは、たぶんこの世界に来たときなんだと思う。』

「スタンド使いは引かれ合う…… 考えてみりゃあ、そうじゃないと言われた方が不自然ではあるな。」




そうだろそうなんだよ。
現におれこの世界にスタンド使い以外の知り合いいないくらい引かれ合ってるからね。承太郎に至ってはベクトル違うからね愛し合っちゃってるからねへへ。

「見せてみろよ。」なんて言いながら足を組み替えるバンダナ先生を見て、足なげーなムカつくと思考回路が脱線気味のおれ。


みせてみろよだと?






「なんで脱いでる。」
『えっ… 見せてみろって……』


「どこの誰が好きこのんでキミなんかの裸体を見たがるんだッ?スタンドだよ!スタンドを見せろって言ったんだこのトンマーーッ!!」




なっ、なんだなんだほんの冗談なのにそんなプッツンきちゃって情緒不安定か……

痺れを切らすどころか始めっからキレっぱなしの彼は近くにGペンでもあればおれの喉笛に突き立ててきそうな勢いだ。こんなキレッキレのバンダナ先生はお初にお目にかかる。

(ところでトンマって、悪口なのはなんとなく分かるけど具体的に何を貶されたのか全くわからん。)








「ご機嫌よう。ボクが彼のスタンドのブリスルですの。」



にゅるりと具現化して、おれの隣に並ぶテディベア。

なにその“ごきげんよう”って。
お前はどこを目指しているの?心はお蝶夫人なの?? そしてそんなお前がおれのスタンドってことは、おれってばお蝶夫人なの?




「挨拶するスタンドなんて初めて見たな… どうも、僕は岸辺露伴。そしてコイツはヘブンズドアー。」




ご丁寧に自らもスタンドを出して自己紹介をするこの男は、律儀というかいい奴だなと心の中では思うが口にはしない。

空間から現れる様を見ていたためか、今回はあっさりこのぬいぐるみをスタンドだと認識したようだ。
ブリスルはヘブンズドアーに向き合い、また挨拶を口にした。






「それで、キミの能力は?」

「見ての通りですの。おまえもぬいぐるみにしてやるんですの。」

『やめて閣下。』




そしたらお前スタンドじゃなくておれがホビらせた誰かしらの人間説出てきちゃうやめて。

消えるのも現れるのもブリスル次第。能力の発動もある程度は自由だし、己の意思であれやこれやと行動する。
新旧型とかいうのはさておき、確かに新しいタイプのスタンドではあるなと再認識したところで、おれは露伴に言葉を投げた。





『時を巻き戻す。それがブリスルの能力だよ。』





そう伝えた刹那、僅かに露伴が目を見開く。

ビックリするよねチートだもんね。でもお前の能力も大概だからね便利さで言ったらわりとトントンだからね。




おれは黙って彼の言葉が返ってくるのを待っていたのだけど、一向に口を開く様子はなく。
だんだんと沈黙がむず痒くなってきた頃になって、唐突に右手人差し指の腹をおれに見せつけだす。

え、なにこわ意図読めないこわ。



「部分的に、ということも可能か?」
『あ?ああ、うん。』
「切ったんだ。昨日、意図せず。」
『えっ、おぁ、あーホントだ怪我してんね……』



その指先にはよく見ると一直線に薄っすらカサブタを作っていて、少し深めに紙で切っちゃいましたって程度の傷だ。




「戻してくれ。」
『いや目の前に仗助さんいますよね専門分野ですよね。』



「コイツには極力触られたくない。」

「ハァ〜〜〜ッ? こっちのセリフっすよォ!第一アンタがこの男と親しいってェーから探りに来たってのに本人呼んじまったら意味ねえだろーがよォ〜〜ッ!!」

『えぇ〜〜ウソォ〜〜〜……』




そんっっなダダ漏れなことある?

ひと一倍頭のキレるジョースターがこんっなに勢いだけで本音ぶちまけちゃうことある?? おれはおれで、そんなの聞かされてどうしたらいいの?警戒心募るんだけど??





「なんか企んでるって風でもねーしよォ〜〜ッ。疑ぐってるコッチが馬鹿らしくなってくるぜー…
ほんと、何者なんですアンタ。」


『何者って。怪しいものじゃないよおれ。』

「ほぉ〜〜…聞いてりゃアッチの世界だコッチの世界だ、どぉ〜やら事情があるみてーじゃあないっすかァ?」




たしかに事情はいくつもあるし、それこそ仗助に話した事なんてその中のひとつもないのだけれど。

だって話す理由がない。
露伴は協力者だし、承太郎は愛してるし(キャッ☆)。ただの好奇心でおれを探り疑ってるこのヒトにこれまでの事象を並べて見せたところで、なんのメリットもない!むしろデメリットばっか思いつくし!

おれはいつだってギブとテイクで生きてんだよ!!!!!





『どうしてそんなにおれが信用できないの? 承太郎さんのお墨付きだよ。安心安全。』

「そのヒトが会って数日のアンタに異常なほど入れ込んでるから、怪しいってんですよ。」




『えっ、そ、そう見える?まいったなヘヘ……』

「あまり惚気させるな面倒だ。」
「のろけって………え? いや。いやいや。」




おい余計なことを言うな!おれはいいけど承太郎が親戚にホモ認定されたらどうするんだ気をつけてくれ。
ただでさえ老い先短いジョセフの寿命が一気に持ってかれるレベルのカムアウトだぞ。(おれたちは決してホモではないのだが。会うべくして出逢ってしまった運命的なソレなのだが。)


それはそうと、傍から見ても承太郎ってばおれにメロメロンなのぉ?!!
ヤッダーーー照れるゥ〜〜ッ!ご機嫌をギブされたからお話しちゃゥン!





『おれ、異世界人でね。承太郎さんに拾ってもらって、面倒までみてもらってんの。』

「いやいや、イヤイヤイヤイヤ……ッ!」

「本当だぜ。」
『そう。ホント。』




ね、と向き合って頷き合うおれと漫画家。

そして仗助はというと、ミキタカがポケットティッシュを食したときよりも余程悲痛に満ちた表情でコチラをみている。
おれは素直に彼の知りたいことを話しただけなのに、露伴まで洗脳しやがったとか思われてないかこれ。



(その様を見たソファに腰を下ろす男が、一瞬ほくそ笑んだのは見間違えではないだろう)





.